大賞発表
この度は「中村航の夏休み200字読書感想文コンクール」に たくさんのご応募をいただき本当にありがとうございました!
中村航さんと夏休み200字読書感想文コンクール実行委員会による 厳正なる審査の結果、受賞作は以下のように決定いたしました。
大賞
| 竹林伸平さん | 旅行券3万円分 | 優秀作 | 杉田ともさん | おいしいお茶セット | 特別賞 | 葵リリコさん、弘本由紀子さん、丹慶しのぶさん、北村愼太朗さん、佐藤慎一郎さん | 中村さんからの 夏休みのおみやげ |
さらに! 中村先生より、さらなる特別賞が10名の方に用意されました。 こちらの発表はプレゼントの発送をもってかえさせていただきます。 今後とも中村航さんの作品、及び河出文庫をよろしくお願いします! 〜著者・中村航さんからのメッセージ〜
たくさんのご応募、本当にありがとうございました。 いただいた読書感想文は、それぞれに楽しく、唸らされるものでありました。 作者は時に、作品の正体を見失います。作品の正体は作者の中にあるわけではなく、読み手の中にしか存在しないからです。 今回のコンクールは僕にとって、その正体に迫る、夏の旅だったと思います。 いい旅をありがとう! 感想を送ってくれた方には感謝の気持ちでいっぱいです。 読んでくれた全てのみなさん。河出書房のみなさんや書店のみなさん。 全国の吉田くんやマモル博士、ユキさんや舞子さんやママや工藤さんやスクリバさん。 話したいことはたくさんあって、ありすぎるのですが、一言に凝縮します。 つち!
中村航
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大賞 袖ヶ浦市/竹林伸平(会社員・24歳) トンガリ2006 紅茶を淹れるにはティーポットが必要でした。 水出しコーヒーには透明の冷却容器が必要でした。 レンタカーを借りるには免許証が必要でした。 ゲームで乱闘するにはハード本体が必要でした。 いずれにせよ、何かを手にするには、まず容れ物と、それ相応の資格が必要なのだなぁと思いました。 僕はそれらをひとつずつ集めようと計画を立てはじめましたが、その途上でふと気付いたのです。 間に合わない。 どうも夏休みはちびた鉛筆のようにみじかく、とがっていました。 どうしよう。悩みました。 しかし違ったのです。黄金色の紅茶や、水出しコーヒーや、レンタカーや乱闘は、実はもうどうでもいいんじゃないか(と思い込むことにしました)。大事なのは、真面目に、真剣に、本気で、遊ぶことだろうと。夏休みなのだから。 夏休みはみじかく、とがっていました。 気がつくと僕は地元の海浜公園で後輩とロックしていました。 ギターボーカルとベースの単純な編成でロールしていました。 演奏はめちゃくちゃでしたが隣にはサングラスの女の子がいてくれました。僕はハッピーで、最後にエレアコの名曲を歌ったのです。 この瞬間が、オートリピートで、気付かないうちに繰り返されますようにと。 |
優秀作 練馬区/杉田とも(学生・22歳) ありがとう吉田くん 吉田くんを探しに行かなければ。「夏休み」を読み終わった私はいてもたってもいられなくなった。後輩キャラで要領が悪くてちょっとダサくてカメラを分解するのが好きで、でもいつも真剣で憎めなくてかわいい吉田くん。主人公マモルの妻の友達の夫というかなり微妙なポジションなのに、私の心の中を占領しているのは、やはり吉田くんだ。自分の妻のどこが好きかと尋ねられ、にこにこしながら丸いほっぺが好きだと恥ずかしげもなく答えるこの男に私はどうしようもない魅力を感じた。ああ彼はどこにいるのだ?! 「吉田くん、そうじゃないったら全く!」「ああ〜、すいません!」といったやりとりがしたいのだ私は。吉田くんは必ずどこかにいるはずだ。町田あたりに住んでいる気がする。お〜い吉田くん、出ておいで。楽しい話をしようじゃないか。 |
|  河出文庫『夏休み』 定価●515円(税込)●解説・酒井雄二(ゴスペラーズ)――心がじんわり晴れやかな、いい気持ちで満たされている。こんな読後感を味わうのは、思いのほか久しぶりの事のような気がします。
●ストーリー● 「十日間ほど留守にします。必ず戻ります。」吉田くんの家出がきっかけでおとずれた二組のカップルの危機?! ユキと舞子さんの書き置きに導かれて、僕と吉田くんのひと夏の不思議な旅が辿り着く場所は――キュートで爽やか、心にじんわりしみるとびっきりの物語。
● ● 中村 航 (
なかむら・こう) 1969年、岐阜県生まれ。2002年、『リレキショ』で第39回文藝賞を受賞し、デビュー。04年『ぐるぐるまわるすべり台』で野間文芸新人賞を受賞。他の著書に『100回泣くこと』などがある。 ・公式サイト・ http://www.nakamurakou.com
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河出文庫『リレキショ』 定価●515円(税込) |