読者の声

NOVA+ 屍者たちの帝国

河出文庫 お20-12

ノヴァプラスシシャタチノテイコク

NOVA+ 屍者たちの帝国

大森 望

定価836円(本体760円)

この本に寄せられた“ 読者の声 ”です。

★2017.03.15   まず、一番感心したのがまったくノーマークだった坂永雄一「ジャングルの物語、その他の物語」だ。これはキプリングの「ジャングル・ブック」に材をとり(しかし物語中では「ジャングル・ブック」の存在は認められていない)、そこにもう一つの有名な作品を有機的に絡めることによって、忘れがたいノスタルジーと不穏の入り混じった素敵な作品に仕上げている。驚いたのが高野史緒「小ねずみと童貞と復活した女」。こちらはドストエフスキーの「白痴」が舞台となっているが、それがとんでもない展開をみせる。だって、あのSF作品とあのSF作品とあのSF作品が物語を浸食してきて、もうなんでもありな物語になっているのだ。これはある意味小気味いいね。津原泰水「エリス、聞えるか?」と山田正紀「石に漱ぎて滅びなば」はそれぞれ森鴎外と夏目漱石が主人公となっている。これは示し合せたわけでなく、偶然だったそうな。

京都府 ベック さん 48歳 男性