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  • 編集部 阿部晴政
  • 編集第四部編集総務課 菊池彩乃

編集部 阿部晴政

 ひとことに編集と言っても、本のジャンルがたくさんあるのと同じくらい、仕事のやり方もさまざまです。しかも、河出書房新社はあらゆるジャンルの本を出していますから、編集という仕事をひとことでくくることは、私にはとてもできません。ただ、それでもすべての編集という仕事に共通することはいくつかあります。出版社の編集という仕事に関心を持った方ならば、知っていて損はないでしょう。
 よく編集者が「本を作った」というような言い方をしますね。実際、著者への原稿依頼から組版、印刷会社への製作の発注まで担当編集者が一人で行っているような少人数の出版社(版元)では、まさにその編集者が本を作っていると言っていいでしょう。しかし、当社のように各部署がそれぞれの作業を役割分担できるような規模の版元では、この言葉は適当ではありません。
 編集者の仕事は企画を立てたり、原稿を依頼すること。時にはその中に深く入り込むこともありますが、本を書くのは著者ですし、現場の本作りの作業は、製作部やそこを通じた組版・印刷、製本のプロが担うのです。その関係を調整し、各所の流れをスムーズにしながら本の刊行を実現するための下働きをしていく。これこそが編集という仕事の基本である、と言えるのではないでしょうか。

 そのプロセスは決して平坦なものではありません。自分の企画が社内の会議でそうすんなりと通るわけではありませんし、立てた企画について著者に原稿をお願いしても引き受けていただけるとは限りません。引き受けていただけたとしても予定通り原稿が仕上がってくることは稀です。また、上げていただいた原稿が期待通りのものかどうか……実はそもそも著者にお願いした時点でこちらの希望が本当に伝わっていたのか……いや、それ以前にその著者にそのテーマで依頼したこと自体、良かったのか……?
 話を飛ばして、いい原稿をいただいたとしましょう。それを本にする時、何ページの本にするといいのか、装丁デザインは誰に頼めばいいのか、その予算は……?
 ここも話を飛ばしましょう。原稿を組み上げると、ゲラと呼ばれる状態の原稿になります。そのゲラをしっかり読んで、チェックを入れて著者に見ていただくのが普通ですが、それも、どこまでもいつまでも好き勝手に直してもらっていいものではありません。ではそこをどう伝えようか……と、まだまだ迷いは続くのですが、これらはまだ編集における悩みの入口にすぎませんし、本が出来上がった後にはまた違う迷路が現われるのです。
 とりあえずこんな戸惑いの連続が編集の内実であることが少しはわかっていただけたでしょうか。この戸惑いは何十年やっても、何百冊作ってもなくなることはありません。
 もちろん編集だけではなく、どの部署にいても違う紆余曲折があなたを待ちかまえていることでしょう。つまるところ、仕事というのはそういう気苦労の連続なのですから、ことさら編集が大変なのだ、などというのも滑稽なことです。
 それでも、編集という仕事にいいことがないわけでもありません。それをお伝えするのは、またの機会にしましょう。

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編集第四部編集総務課 菊池彩乃

編集第四部編集総務課の仕事について教えて下さい。

編集総務課 仕事の様子

 編集総務課は編集部の中にありながら、本を作らない部署です。
 主な業務は著作物の二次的利用の管理業務で、本として出版した作品が海外で翻訳出版されたり、ドラマ化されたり、電子書籍化されたりと、様々な形で二次的に利用される場合の窓口をしています。著者の方から作品の著作権管理業務を任せていただき、著者のご意向に沿いながら、代理人として取引先との条件交渉や、契約締結、ロイヤリティの入金管理等の業務を行います。映像化などは本のセールスに大きな影響を与えます。そのような場合は、営業部が本の販売促進(プロモーション)を効果的かつ円滑に行えるよう、取引先から必要な情報をいただき、整理して社内にフィードバックします。
 二次的利用はここ数年、契約件数、契約金額ともに増加傾向にあり、かつ様々な種類の利用が行われるようになってきていて、今後もその傾向は強まると思います。ひとつの作品が様々な形で読者の方の目に触れる機会をもてることは、作品にとって幸せなことだと思います。著者や取引先、そして河出書房新社、関係する皆にとってできるだけよい形で二次的利用が実現するように動くことが私の仕事だと思っています。
 二次的利用の管理業務では契約書を扱うことが多数あります。紙の本を出す段階で著者の方と結ぶ「出版契約書」に始まり、二次的利用の場合は利用内容に応じて取引先と「著作物利用許諾契約書」を交わしたり、電子書籍化の場合は著者と「電子出版契約書」を交わしたり、契約書に触れない日はないくらいです。編集総務課では、「出版契約書」のひな型を準備したり、特殊なケースの契約書について相談を受けたり、ドラフトを準備したりといったことも担当しています。また、出版予定の本の内容が、著作権法上問題ないかどうか検討したりすることもあります。契約書にしても、内容の相談にしても、私たちは法律の専門家ではないので、判断が難しいケースでは必要に応じて弁護士の方などに相談して対応することになります。

海外翻訳出版について教えて下さい。

海外翻訳出版の例[1]

韓国、台湾、中国などアジア圏が主な契約先です。最近は特に経済発展著しい中国が、契約件数を大きく増やしています。
ジャンルとしては、主に小説や実用書など一般の人が読んで楽しめるものが多く、専門性が高いものは少ない傾向にあります。
実用書は、日本のものは作りが丁寧でクオリティが高く、写真がきれい、デザインがかわいいと、欧米圏からもお問い合わせをいただくことが増えています。今後はアジアだけでなく欧米圏にも力を入れて河出書房新社の出版物をご案内していく予定です。
年間100件くらいの契約が成立していますが、まだまだ伸びしろはあると思っています。

電子出版への取り組みはいかがでしょうか?

海外翻訳出版の例[2]

 スタートは2001年。当初は売り上げよりも、どちらかというと広告効果を期待しての取り組みでした。社内で「電子書籍なんて儲かるのか?紙の本の売り上げが下がるのでは?」といったマイナス意見があり、しばらくは年間数タイトルというのんびりしたペースでした。2007年頃からもう少し積極的にやってみることにし、徐々にタイトルを増やしました。現在は200タイトルほどを一般携帯電話、スマートフォン、PCなどに向け配信しています。綿矢りささんの『インストール』『蹴りたい背中』、佐藤亜有子さんの『ボディ・レンタル』、山崎ナオコーラさんの『人のセックスを笑うな』などは累計1万DLを超えており、河出の電子書籍のベストセラーとなっています。2010年はiphone、ipad向けアプリの配信を開始し、高田純次さんの『適当教典』や、伊坂幸太郎さんの『クリスマスを探偵と』などが好評でした。
 河出書房新社は過去に膨大な数の作品を出版してきました。残念ながら品切重版未定となっている作品にとって、デジタルという選択肢の登場で再び読者の目に触れる可能性ができたことは、すばらしいことだと思っています。一方、多くの社がプラットフォームを立ち上げたり、いろいろなフォーマットが存在したり、様々な端末が登場したりと、電子書籍市場はまだまだ落ち着いておらず、慎重に状況を見極める必要があると考えています。

印象に残ったお仕事はありますか?

 第41回文藝賞受賞作『野ブタ。をプロデュース』と『人のセックスを笑うな』の2作品でしょうか。どちらも映像化され、翻訳出版され、電子書籍化させていただき、『野ブタ。』はコミックになり‥と、ひとつの作品が様々な形になっていくのを、担当として初めて目の当たりにした事例で、とても勉強になりました。ドラマや映画が終わっても、DVDになり、再放送されたり、ネットでの配信があったりと、映像の世界の二次的利用も様々に広がっていることを実感しました。ここまで広く二次的に利用される作品はそうそうあるものではありません。貴重な経験をさせていただいたなと思っています。

編集総務課で働く上で必要なものは?

 出版に関する基礎的な知識やPCスキル、事務処理能力は大前提として、この部署に特に必須なのは著作権法の知識です。最初からエキスパートである必要はありませんが、自分で本を読んだり、様々な経験をしていく過程で素直に吸収し知識を蓄積していくことが重要だと思います。私自身、著作権法に関してはまだまだ日々勉強中というのが正直なところです。
 性質面では、出版業界以外の方とお話する機会も結構あるので、苦手意識をもたず守備範囲が広い人が向いているかもしれません。

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