2014年11月 1
コジキ 古事記
日本最古の文学作品を作家・池澤夏樹が新訳する。
原文の力のある文体を生かしたストレートで斬新な訳が特徴。読みやすさを追求し、工夫を凝らした組みと詳細な脚注を付け、画期的な池澤古事記の誕生!
解題=三浦佑之
解説=池澤夏樹
月報=内田樹、京極夏彦
帯装画=鴻池朋子
原文の力のある文体を生かしたストレートで斬新な訳が特徴。読みやすさを追求し、工夫を凝らした組みと詳細な脚注を付け、画期的な池澤古事記の誕生!
解題=三浦佑之
解説=池澤夏樹
月報=内田樹、京極夏彦
帯装画=鴻池朋子

2015年7月 2
コウヤクマンヨウシュウヒャクニンイッシュシンシンヒャクニンイッシュ 口訳万葉集/百人一首/新々百人一首
和歌の歴史を始まりから爛熟期まで九百年に亘って辿り、精選した歌に達意の訳と周到な註釈を添える。(池澤夏樹)
小池昌代の訳詩と鑑賞で和歌の世界へと誘う新訳「百人一首」を中心に、折口信夫の個性が光る「口訳万葉集」と丸谷才一の豊かな和歌の解釈を楽しむ「新々百人一首」をそれぞれ厳選し収録。
解題 口訳万葉集 岡野弘彦
解題 百人一首 渡部泰明
解説 池澤夏樹
月報 穂村弘 今日マチ子
帯作品 minä perhonen
小池昌代の訳詩と鑑賞で和歌の世界へと誘う新訳「百人一首」を中心に、折口信夫の個性が光る「口訳万葉集」と丸谷才一の豊かな和歌の解釈を楽しむ「新々百人一首」をそれぞれ厳選し収録。
解題 口訳万葉集 岡野弘彦
解題 百人一首 渡部泰明
解説 池澤夏樹
月報 穂村弘 今日マチ子
帯作品 minä perhonen

新訳にあたって
百人一首は日本語の「井戸」だ。一首一首、こんなに短いのに、覗きこむと深い深い。手探りで求め続けると、その闇のような底から、烈しい「詩」の飛沫があがり我が額を打った。
ぼくがこれを選んだ理由
そもそも和歌とは何か? 初学者のための手立てを考えた。まずは「百人一首」。小池昌代の訳によって深い意味を教えてもらう。次に丸谷才一の「新々百人一首」で和歌のからくりを学ぶ。そうすれば折口信夫が訳した「万葉集」の含蓄がわかるようになる(はず)。
2016年1月 3
タケトリモノガタリイセモノガタリツツミチュウナゴンモノガタリトサニッキサラシナニッキ 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記
「もの」を「かたる」のが文学である。奇譚と冒険と心情、そこに詩的感興が加わって、物語と日記はこの国の文学の基本形となった。(池澤夏樹)
竹取の翁が竹の中から見つけた〝かぐや姫〟をめぐって貴公
子五人と帝が求婚する、仮名による日本最古の物語、「竹取
物語」。在原業平と思われる男を主人公に、恋と友情、
別離、人生が和歌を中心に描かれる「伊勢物語」。「虫めづる
姫君」などユーモアと機知に富む十篇と一つの断章から成る
最古の短篇小説集「堤中納言物語」。「男もすなる日記といふ
ものを、女もしてみむとしてするなり」、土佐国司の任を終え
て京に戻るまでを描く日記体の紀行文、紀貫之「土左日記」。
十三歳から四十余年に及ぶ半生を綴った菅原孝標女「更級
日記」。燦然と輝く王朝文学の傑作を、新訳・全訳で収録。
解題=島内景二
解説=池澤夏樹
月報=小川洋子・津島佑子
帯装画=清川あさみ
竹取の翁が竹の中から見つけた〝かぐや姫〟をめぐって貴公
子五人と帝が求婚する、仮名による日本最古の物語、「竹取
物語」。在原業平と思われる男を主人公に、恋と友情、
別離、人生が和歌を中心に描かれる「伊勢物語」。「虫めづる
姫君」などユーモアと機知に富む十篇と一つの断章から成る
最古の短篇小説集「堤中納言物語」。「男もすなる日記といふ
ものを、女もしてみむとしてするなり」、土佐国司の任を終え
て京に戻るまでを描く日記体の紀行文、紀貫之「土左日記」。
十三歳から四十余年に及ぶ半生を綴った菅原孝標女「更級
日記」。燦然と輝く王朝文学の傑作を、新訳・全訳で収録。
解題=島内景二
解説=池澤夏樹
月報=小川洋子・津島佑子
帯装画=清川あさみ

新訳にあたって
美女と竹林、阿呆な男たちの恋と迷走、この世ならざる世界への怖れと憧れ。これまで自分が書いてきたもの、これから書くであろうすべてのものは、この物語の末裔なのだと腑に落ちた。
新訳にあたって
大昔の、それも色男のお話になど、どうやって感情移入できるのだろうかと、半分心配、半分興味津々で訳し始めたら、驚くべきことに、この色男にすっかり没入してしまいました。今やすっかり業平のファンです。
新訳にあたって
くすっと笑わされ、にんまりさせられ、泣き笑いさせられ、痛さ苦さを味わわされ、せつなく胸を締めつけられた。ほんとうに驚いた。これが、日本最古の短編集の妙味なのか!
新訳にあたって
千年以上前、紀貫之は「やまとうた」でも「からうた」でもない「文」を模索していた。画期をなす彼の試みにどう寄り添うべきか。私訳は、その模索をめぐる模索の跡である。(photo: 森 清)

新訳にあたって
平安時代はおもしろい。改めてそれがわかる、幸福な現代語訳体験でした。たとえば、彼らは驚くほど夜更かしです。遊ぶこと、味わうこと、それに物語が大好きな人種です。
遠い時代の人々なのに、ついこのあいだ会ったみたいな気がします。

ぼくがこれを選んだ理由
「もの」を「かたる」のが文学である。奇譚と冒険と心情、そこに詩的感興が加わって、物語と日記はこの国の文学の基本形となった。2017年9月 4
ゲンジモノガタリ01 源氏物語 上
千年読み継がれる『源氏物語』が現代最高の訳で甦る。原文に忠実ながらも、読みやすく小説としての面白さが堪能できる角田訳。1帖「桐壺」から21帖「少女」まで、光源氏・恋の遍歴の巻。
解題=藤原克己(国文学 東京大学)
解説=池澤夏樹
月報=瀬戸内寂聴
大和和紀
帯写真=荒木経惟
<出版社から>
【角田光代訳『源氏物語』は、何より読みやすさと、昔も今もつながる感情を重視!】
角田訳は、物語としての面白さが堪能できる『源氏物語』です。これまでの現代語訳で挫折した方も、この角田訳なら必ず最後までたどりつけることをお約束します。
【読みやすさの工夫を凝らした角田訳の特徴】
●原文に忠実に沿いながらも、読みやすく、感情に引きつけて読める自然な訳文
●主語を補い、地の文の敬語をほぼ廃したことで、細部までわかりやすい
●現代的で歯切れがよく、生き生きとした会話文
●作者や第三者の声(草子地)を魅力的に訳して挿入
●和歌や漢詩などの引用はほぼ全文を補って紹介
平安時代中期の11世紀初めに紫式部によって書かれた『源氏物語』は、五十四帖から成る世界最古の長篇小説。輝く皇子として生まれた光源氏が、女たちとさまざまな恋愛を繰り広げる物語であると同時に、生と死、無常観など、人生や社会の深淵が描かれている。四百人以上の登場人物が織りなす物語の面白さ、卓越した構成力、細やかな心情を豊かに綴った筆致と、千年読み継がれる傑作。上巻には一帖「桐壺」から二十一帖「少女」まで、光源氏の誕生から若き日々を描く。
◎初回封入特典 源氏かおり袋付き 特製しおり
* * * * *
【目次】
桐壺(きりつぼ) 光をまとって生まれた皇子
帚木(ははきぎ) 雨の夜、男たちは女を語る
空蝉(うつせみ) 拒む女、拒まぬ女
夕顔(ゆうがお) 人の思いが人を殺める
若紫(わかむらさき) 運命の出会い、運命の密会
末摘花(すえつむはな)さがしあてたのは、見るも珍奇な紅い花
紅葉賀(もみじのが) うりふたつの皇子誕生
花宴(はなのえん) 宴の後、朧月夜に誘われて
葵(あおい) いのちが生まれ、いのちが消える
賢木(さかき) 院死去、藤壺出家
花散里(はなちるさと)五月雨の晴れ間に、花散る里を訪ねて
須磨(すま) 光君の失墜、須磨への退居
明石(あかし) 明石の女君、身分違いの恋
澪標(みおつくし) 光君の秘めた子、新帝へ
蓬生(よもぎう) 志操堅固に待つ姫君
関屋(せきや) 空蝉と、逢坂での再会
絵合(えあわせ) それぞれの対決
松風(まつかぜ) 明石の女君、いよいよ京へ
薄雲(うすぐも) 藤壺の死と明かされる秘密
朝顔(あさがお) またしても真剣な恋
少女(おとめ) 引き裂かれる幼い恋
訳者あとがき
解題 藤原克己
解説 池澤夏樹
解題=藤原克己(国文学 東京大学)
解説=池澤夏樹
月報=瀬戸内寂聴
大和和紀
帯写真=荒木経惟
<出版社から>
【角田光代訳『源氏物語』は、何より読みやすさと、昔も今もつながる感情を重視!】
角田訳は、物語としての面白さが堪能できる『源氏物語』です。これまでの現代語訳で挫折した方も、この角田訳なら必ず最後までたどりつけることをお約束します。
【読みやすさの工夫を凝らした角田訳の特徴】
●原文に忠実に沿いながらも、読みやすく、感情に引きつけて読める自然な訳文
●主語を補い、地の文の敬語をほぼ廃したことで、細部までわかりやすい
●現代的で歯切れがよく、生き生きとした会話文
●作者や第三者の声(草子地)を魅力的に訳して挿入
●和歌や漢詩などの引用はほぼ全文を補って紹介
平安時代中期の11世紀初めに紫式部によって書かれた『源氏物語』は、五十四帖から成る世界最古の長篇小説。輝く皇子として生まれた光源氏が、女たちとさまざまな恋愛を繰り広げる物語であると同時に、生と死、無常観など、人生や社会の深淵が描かれている。四百人以上の登場人物が織りなす物語の面白さ、卓越した構成力、細やかな心情を豊かに綴った筆致と、千年読み継がれる傑作。上巻には一帖「桐壺」から二十一帖「少女」まで、光源氏の誕生から若き日々を描く。
◎初回封入特典 源氏かおり袋付き 特製しおり
* * * * *
【目次】
桐壺(きりつぼ) 光をまとって生まれた皇子
帚木(ははきぎ) 雨の夜、男たちは女を語る
空蝉(うつせみ) 拒む女、拒まぬ女
夕顔(ゆうがお) 人の思いが人を殺める
若紫(わかむらさき) 運命の出会い、運命の密会
末摘花(すえつむはな)さがしあてたのは、見るも珍奇な紅い花
紅葉賀(もみじのが) うりふたつの皇子誕生
花宴(はなのえん) 宴の後、朧月夜に誘われて
葵(あおい) いのちが生まれ、いのちが消える
賢木(さかき) 院死去、藤壺出家
花散里(はなちるさと)五月雨の晴れ間に、花散る里を訪ねて
須磨(すま) 光君の失墜、須磨への退居
明石(あかし) 明石の女君、身分違いの恋
澪標(みおつくし) 光君の秘めた子、新帝へ
蓬生(よもぎう) 志操堅固に待つ姫君
関屋(せきや) 空蝉と、逢坂での再会
絵合(えあわせ) それぞれの対決
松風(まつかぜ) 明石の女君、いよいよ京へ
薄雲(うすぐも) 藤壺の死と明かされる秘密
朝顔(あさがお) またしても真剣な恋
少女(おとめ) 引き裂かれる幼い恋
訳者あとがき
解題 藤原克己
解説 池澤夏樹

新訳にあたって
とりかかる前は、この壮大な物語に、私ごときが触れてもいいのだろうかと思っていた。実際にとりくみはじめて、私ごときが何をしてもまるで動じないだろう強靱な物語だと知った。(photo:KIKUKO USUYAMA)

ぼくがこれを選んだ理由
世に優れて魅力ある男の物語がたくさんの登場人物を連ねて際限なく広がる。その一方で人の心の奥へも深く沈んでゆく。いうまでもなく日本文学最大の傑作。2018年11月 5
ゲンジモノガタリ02 源氏物語 中
世に優れて魅力ある男の物語がたくさんの登場人物を連ねて際限なく広がる。その一方で人の心の奥へも深く沈んでゆく。いうまでもなく日本文学最大の傑作。(池澤夏樹)

新訳にあたって
とりかかる前は、この壮大な物語に、私ごときが触れてもいいのだろうかと思っていた。実際にとりくみはじめて、私ごときが何をしてもまるで動じないだろう強靱な物語だと知った。(photo:KIKUKO USUYAMA)

2020年2月 6
ゲンジモノガタリ03 源氏物語 下
世に優れて魅力ある男の物語がたくさんの登場人物を連ねて際限なく広がる。その一方で人の心の奥へも深く沈んでゆく。いうまでもなく日本文学最大の傑作。(池澤夏樹)

新訳にあたって
とりかかる前は、この壮大な物語に、私ごときが触れてもいいのだろうかと思っていた。実際にとりくみはじめて、私ごときが何をしてもまるで動じないだろう強靱な物語だと知った。(photo:KIKUKO USUYAMA)

2016年11月 7
マクラノソウシホウジョウキツレヅレグサ 枕草子/方丈記/徒然草
随筆とは筆に随うの意である。そこで筆がどれほど自在に遠くまで人を連れ出すことか。現代の日本人の感受性はこれらの随筆に由来すると言ってもいい。(池澤夏樹)

新訳にあたって
枕草子と向き合う時間は、親しい友と語り合うかのように流れてゆきました。千年前にも「気が合う人」はいるという喜びを、読者の皆様にお届けできればと思います。
新訳にあたって
「方丈記」は、この国の歴史上、もっとも短くてなおかつ有名な散文だ。乱世と天変地異が続いた激動の時代に生きて、作者は極限まで「書かない」ことを選んだ。その謎に迫りたい。
新訳にあたって
「現代語への翻訳」というときの「現代語」とはどういう言葉を指すのか、考えるとよくわかりません。とりあえず、「自分がふだん使っている言葉」なら現代語だろうと思って訳しています。
ぼくがこれを選んだ理由
随筆とは筆に随うの意である。そこで筆がどれほど自在に遠くまで人を連れ出すことか。現代の日本人の感受性はこれらの随筆に由来すると言ってもいい。2015年9月 8
ニホンリョウイキコンジャクモノガタリウジシュウイモノガタリホッシンシュウ 日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集
人間のユーモアと機知とエロスに満ちた野蛮な魅力そのものが生き生きと語られる、「瘤取り爺」の原話等古来よりの説話100余篇を収録。「日本霊異記」「宇治拾遺物語」「発心集」は新訳で。
解題=小峯和明
解説=池澤夏樹
月報=高樹のぶ子・朝吹真理子
帯装画=しりあがり寿
解題=小峯和明
解説=池澤夏樹
月報=高樹のぶ子・朝吹真理子
帯装画=しりあがり寿

新訳にあたって
翻訳しているといまはどうしたって見たり聞いたりすることのできない昔の人の声や顔が見えたり聞こえたりするようで楽しくてなりません。現代の日本語が過去に広がっていくような感覚もあります。この感じを届けたいと思います。
新訳にあたって
「日本霊異記」も「発心集」も読み始めたとき、そのエロさに辟易、いや、興奮して夢中になりました。エロくておもしろくてタメになり、その上仏教文学なんです。そこを伝えたい。(photo: 吉原洋一)

ぼくがこれを選んだ理由
説話文学は仏教を説きながら、実は人間のふるまいの放縦を語る。教義からの野放図な逸脱はむしろ哄笑を誘うだろう。2016年12月 9
ヘイケモノガタリ 平家物語
古代日本で最も武張った年代記。栄華から滅びにいたる道筋の哀感を、語り物につながる文体で伝える。(池澤夏樹)
・『平家物語』フリーペーパー ダウンロード1.82MB
・電子書籍限定『平家物語』名場面抜粋の試し読み版
・『平家物語』フリーペーパー ダウンロード1.82MB
・電子書籍限定『平家物語』名場面抜粋の試し読み版

新訳にあたって
『平家』は一人の作者の手で書かれたのではない。一人の琵琶法師の声で語られたのではない。多数の多声。そんなポリフォニックな中世のメガノベルをいかに訳すか? さいわい僕は答えを持っている。さあ、現代の『平家』だ。
ぼくがこれを選んだ理由
古代日本で最も武張った年代記。栄華から滅びにいたる道筋の哀感を、語り物につながる文体で伝える。2016年10月 10
ノウキョウゲンセッキョウブシソネザキシンジュウオンナコロシアブラノジゴクスガワラデンジュテナライカガミヨシツネセンボンザクラカナデホンチュウシングラ 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵
かつても今も、舞台からは人の声が響く。そこから演ずる者と見る者の交流が生じる。その喜びと興奮を現代の言葉で再現する。(池澤夏樹)

新訳にあたって
高密度に圧縮されてる能の言葉を現代ヴァージョンで解凍する、勢いとヴァイヴレーションで押し切る狂言の言葉の質を現代のそれに置換する。上演のためのテキストとして。
新訳にあたって
かるかや」は男中心の話で、女たちは影が薄い。ところがそれで終わらないのが説経節。友情出演的な空海の母親が、女たちに仇を取るように、強く生々しく大活躍して、男の情けなさを吹き飛ばす。(photo: 吉原洋一)

新訳にあたって
近松の音楽性を今の言葉に映せたらとひたすら願っている。浄瑠璃節で語られ歌われるためにあった文の、近松的なフローと韻と変速リズムを。つまり、MC門左衛門の超テクを。
新訳にあたって
父王の死と母の再婚によって国を奪われし狂気の王子─河内屋与兵衛はシェイクスピア「ハムレット」を彷彿とさせる古典的ダークヒーローです。血と油にぬらぬら光るこの主人公の姿を、私はキレ良く現代に蘇らせたい。写真提供 文藝春秋

新訳にあたって
一種のテロ事件を恋バナ中心に脚色したからこそ当時の民意に支持された大河ドラマ、それが元祖「忠臣蔵」だ。現代語訳をしてみたら、後世の誤解されたイメージとのギャップを改めて痛感することになった。
新訳にあたって
理不尽な運命に翻弄されながらも必死に生き、葛藤する人々の姿は、いま読んでも輝きを宿している。笑いあり、ミステリー風味あり、トンデモ展開ありの、この傑作悲劇を、ぜひご堪能いただきたい。(photo: 松蔭浩之)

新訳にあたって
義経千本桜のことばをたどっていくのは、日付や時刻から解き放たれた、生の時間旅行に似ている。僕は時間をまたぎ、義経千本桜、初演の客席にすわって、たばこの匂い、汗、ざわめき、ほんとうの生と死を浴びている。
新訳にあたって 池澤夏樹
なにしろ日本で最初の文学作品だから、書いた人も勝手がわからない。ごちゃごちゃまぜこぜの中に、ものすごくチャーミングな神々やら英雄やら美女が次から次へと登場する。もとの混乱した感じをどこまで残すか、その上でどうやって読みやすい今の日本語に移すか、翻訳は楽しい苦労だった。
ぼくがこれを選んだ理由 池澤夏樹
世界の創成と神々の誕生から国の形ができあがるまでを描く最初の日本文学。神話と歌謡と系図からなる錯綜のテクストを今の我々が読める形に。