全集・シリーズ 図説 英国メイドの日常
英国メイドの日常を描いた貴重な図版をぎっしり300点以上収録!
「メイド」たちの素顔に迫る。
- 単行本 A5変形 / 144ページ
- ISBN:978-4-309-76164-0 / Cコード:0339
- 発売日:2011.04.19
- 定価:1,980円(本体1,800円)
- ×品切・重版未定
内容紹介
19世紀英国ヴィクトリア朝の最大多数派の女の子たち……メイド。同時代の図版を駆使して、彼女たちの日常、恋や結婚、彼女たちの〈本当の気持ち〉に迫る! 決定版。
文学や映画の中では常に脇役、名もなき影のように扱われてきた「メイド」たち。『図説 英国メイドの日常』は、100年ほど前の英国のメイド自身が残した日記、自伝、口述歴史、生の声に限りなく近い資料をもとに、彼女たちの生活の実態と心情を解き明かしていく。
また本書には、同時代の雑誌の挿絵、広告、私的な写真やポストカードなど、さまざまなタイプの図像を大量に収録した。300点を超す図版には、本書でしか見ることのできない非常にめずらしいものも数多く含まれる。この時代の英国の文学・文化・歴史に興味を持つあらゆる読者にとって、必携のヴィジュアル資料となるだろう。
【目次】
序章 メイドの素顔
第1章 メイドの居場所
第2章 メイドの旅立ち
第3章 メイドの仕事
第4章 メイドと奥様
第5章 メイドと同僚
第6章 メイドの制服
第7章 メイドの財布
第8章 メイドの遊び
第9章 メイドの恋人
第10章 メイドの未来
【第2章「メイドの旅立ち」より】
20世紀の初頭、マーガレット・トーマスは、自宅から通いで子守とナイフ磨きと靴磨きをしてお金をため、制服を買って、15歳のときに「本当の仕事」につくことになった。旅立ちにあたって、少女時代には垂らしていた髪をあげなければならなかったことに、彼女は抵抗を感じていた。
「15歳になりたくありませんでした。髪をうしろで黒いリボンで結んでおくのが好きだったし、どうやったらまとめられるのかわからなかったのです。けれど、それはとにかくやらなくちゃいけないことなので、ブラシでとかして全部あげて、頭の上で『おだんご』にしました。ほら、もう――おとなの『女』の出来上がりです。あっけないものでした」
【第8章「メイドの遊び」より】
9時ないし10時までには家の中に戻っていること、という規則を厳しく守らせる家は多かった。それをすぎれば最悪、紹介状なしでの解雇が待っていた。けれども若い女の子にとって、規則は破るためにあったらしい。
「門限は冬は9時30分、夏は10時です。ある夜に、ほんの10分だけ遅れて、締め出されてしまったことがありました。ラッキーなことに、スカラリーの窓が完全には閉まっていなかったので、無理やりもぐりこむことができました。その5分後、奥様がコックに『パークはまだ帰っていないの?』と怒鳴るのが聞こえたんです。コックは私の味方だったので、こう答えてくれました。『部屋にいます――ずっと中にいましたよ!』」
しかし彼女が「ずっと中にいた」などということはまったくなかった。別のときにも門限を過ぎて、まだ戻っていないところに階上から呼び出しがかかり、間一髪の目にあっている。このときはレディーズメイドが「いま、髪を洗っているところです」とごまかしてくれた。
著者紹介
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