文藝

創刊1933年、文学の「いま」を伝える季刊文芸誌

第62回文藝賞 応募はこちら
文藝 2025年秋季号

文藝 2025年秋季号

最新刊の内容

創作:児玉雨子、佐佐木陸、小原晩/特集:「戦争の傷跡」(仮)村田沙耶香、宇佐見りん/新連載:いとうせいこう

【創作】
児玉雨子「目立った傷や汚れなし」
フリマアプリせどりのサークルに加入した翠(すい)。物の価値を見極める活動に高揚する一方、休職中の夫への愛情は下降し―価値をめぐる快楽と葛藤がバキバキに交差する!

佐佐木陸「ごみのはての」
「この世界は、にせものなのよ」。ごみ屋敷でめぐりあう便利屋ども×老婆×闇バイトの男たち。噓と真実をめぐり、声なき者たちの叫びが炸裂する文藝賞受賞第一作!

小原晩「今日はユーカリ食べちゃったから眠くて眠くて」
百子(ももこ)は心ぼそくなると、同じマンションに住む山彦(やまびこ)さんに会いに行く。恋人である川太郎との生活や、過(よぎ)る母の記憶。そしてまた水曜日がやってくる。気鋭が紡ぐ再生の物語。

【新連載】
いとうせいこう「難民移民モノローグ」
日本に生きる難民移民、そして支援者。よるべない地で生きぬく人々の足跡がいま編みなおされる――文学とノンフィクションの臨界点。

岸政彦「犬は人生」犬は飛行機
ある日、家族になった元野犬の保護犬「ちくわ」。日々繰り返される愛おしい時間のなかに潜む、かつての喪失。見つめ直される「生」と新しい家族の形とは――

【特集 戦争、物語る傷跡】
◎鼎談
小林エリカ×永井玲衣×奈倉有里「語りたい、でも忘れたい」終わらない記憶と対話

◎創作
村田沙耶香「忘却」
言葉を失った「私」が従事するのは、自殺幇助のアルバイト。忘却することで生き延びる日常の果ては――
柴崎友香「おだやかな日常について」
ロサンゼルスの風景に潜む、歴史の沈黙と語られなかった言葉。日々の記憶が時空を超えて重なり合う。
町屋良平「少年AB」
立川、熱海そして京都。ある事件の記憶をかかえる朝見(あさみ)があの日「われわれ」に返したかった言葉とは――
芦沢央「ペグマン」
正しくありたい。しかし調べるほどわからなくなる――ガザに心を飛ばし苦悩する作家が逃げ込む先は?
高橋知由「咬傷」
術後の譫妄(せんもう)の中で聞いた戦争の報と首に残る「咬み跡」。現実か幻か、身体が記憶した傷が静かに疼く。

◎エッセイ
宮地尚子・清水加奈子「〈内海〉の声は聴こえるか」
五所純子「青っ恥」
大田ステファニー歓人「八十年ぶんのかさぶた」
マユンキキ「父の傷、私の傷」
大前粟生「戦争の身体」

◎読書ノート
齋藤美衣「傷跡をまなざすための読書」

◎論考
信田さよ子「被害と傷、そしてトラウマ」

【連載】
朝吹真理子「ゆめ」【最終回】
岸本佐知子「尻 on fire 日記」【第2回】
柳美里「JR常磐線夜ノ森駅」【第7回】
皆川博子「ジンタルス RED AMBER 風配図Ⅱ」【第8回】
町田康「ギケイキ」【第48回】
山本貴光「文芸的事象クロニクル」2025年3月〜5月

【季評】
水上文「たったひとり、私だけの部屋で 労働と文学」2025年3月〜2025年6月

第9回「日本語で読みたい韓国の本翻訳コンクール」、募集開始

【書評】
吉本ばなな『ヨシモトオノ』【評】前川知大 
向坂くじら『踊れ、愛より痛いほうへ』【評】伊藤亜和
パーシヴァル・エヴェレット 木原善彦訳『ジェイムズ』【評】中村隆之
綿矢りさ『激しく煌めく短い命』【評】坂崎かおる 
町屋良平『生活』【評】井戸川射子
カミラ・グルドーヴァ 上田麻由子訳『人形のアルファベット』【評】小野絵里華
中原昌也『焼死体たちの革命の夜』【評】芦花公園

第63回文藝賞応募規定
次号予告・著者一覧

お得な定期購読

お申し込み
年間定期購読およびバックナンバーのお申し込みはこちら。
http://fujisan.co.jp/pc/web-bungei
定期購読申込用フリーダイヤル
年間定期購読はお電話でも承ります。
TEL 0120-223-223
※年中無休24時間営業

文藝賞原稿募集

応募要項

河出書房新社が主催する「文藝賞」は、1962年の創設以来、新人の登竜門として、たえず文学シーンに新しい才能を送り出して参りました。応募規定をご覧のうえ、積極的にご投稿ください。既成の枠にとらわれない、衝撃的な作品を お待ちしております。

「文藝賞」原稿募集 (主催=河出書房新社)はこちら

バックナンバー

バックナンバー一覧へ

文藝のあゆみ

「文藝」は昭和8年に改造社で創刊された雑誌(初代編集長は上林暁氏)ですが、昭和19年に軍部の圧力その他によって解散することになったために、以後現在まで河出書房から刊行されている文芸雑誌です。

河出書房での初代編集長は野田宇太郎氏(現詩人・文芸評論家)で、三島由紀夫氏が事実上、文壇にデビューした「エスガイの狩」が掲載されたのは昭和20年5・6月合併号でした。

その後、昭和22年、杉森久英氏(現作家)が編集長を引きつぎ、当時、有力な新人作家として台頭してきた、“第一次戦後派”といわれる作家たち、野間宏、椎名麟三、梅崎春生、埴谷雄高、中村眞一郎氏らの活躍の舞台となり、のちにロータス賞・谷崎潤一郎賞を受賞した野間氏の大作「青年の環」、中村氏の五部作の一つである「愛神と死神と」という両氏の代表作となった長編小説の連載が開始されたのもこの頃です。また同じく中村光夫氏の代表作となった「風俗小説論」「谷崎潤一郎論」がこの時期に掲載されたことも忘れられないことです。

文藝 Twitter

文藝ニュース