最新情報
本書の5つの特徴
クラシックからロック、ジャズ、そして映画音楽やミュージカルまで、幅広いジャンルで支持されたスタジオの華麗な歴史を追った初めての本!
グラモフォン、コロムビア・グラモフォン、EMI、HMV、パーロフォンなど音楽業界の歴史を彩った会社やレーベルの歴史を図版と共に紹介!
初めてスタジオの内部を公開、レコード盤のカッティング、マイクの種類や性能、ミキシングほかエンジニア垂涎の技術関連の逸話が満載!
ステレオの発明、マルチトラック・レコーディングの導入など録音技術の歴史と同時に音楽ビジネス発展の軌跡がわかる稀有な資料!
20世紀から21世紀にかけての音楽と録音技術の軌跡を10年ごとにたどった「スタジオが主役」の初めてのビジュアル読本決定版!
序文より サー・ジョージ・マーティン
神が人類に与えた最高の贈り物のひとつが音楽だった。あまりにも大きな贈り物であるため、音楽のない世界を想像しようと思っても到底できるものではない。しかし、その音楽を保存しておく、つまり、後の時代の消費に備えて凍結させておくための手段を見出したのは人間であった。1世紀以上前にレコーディング技術が発明されたことで、私たちは音楽という途方もない蓄積を、気軽に手に入れることができるようになった。アビイ・ロード・スタジオは、この深淵かつ困難な仕事において先頭に立ち、レコード界の聖地となった。(中略)
アビイ・ロード3番地の建物の外観には、その内部の様子を知る手がかりは全くなかった。これは今日に至るまで変わらない。レコーディングという謎に満ちた世界は、一般大衆の目からはすっかり覆い隠されているのだ。(中略)
プロデューサー、レコーディング・エンジニアをはじめとする隠れたヒーローたちは、常に世界の先端であり続けてきたアビイ・ロードの録音技術を守り育て、ここを文字通りの「不思議の国」にすべく力を合わせてきた。この本は、そんな世界一のスタジオの物語である。私はこの場所で、数多くの才能あふれるスターたちの作品を共に創ることで育てられてきたと言ってよい。この途方もない物語は、もう十分に語られ、私自身もその多くを承知しているが、それでもなお心を奪われてしまう。だから、今あなたは私と一緒にアビイ・ロード3番地を訪れ、スタジオの入口へ向かう階段を昇っていると想像してほしい。このうえなくすばらしい時間を過ごせるはずだ。私が保証しよう。
目次
アビイ・ロード前夜
まだ音楽業界が歩みを始めたばかりの時代 ─ EMIはいかにして高いレベルの録音環境を創り出したのか
このスタジオが歴史的にも、技術的にも、文化的にも重要であるということを認識するためには、まず、それ以前の状況を把握しておくことが肝要である。
1929-1939 アビイ・ロードの黎明期
アビイ・ロードの生みの親たち ─ 技術者たちはどうやって音の波を繊細な音の風景へと変換したのか
スタジオは1931年11月12日に営業を開始。当時の第一線で活躍していた音楽アーティストと、その作品を録音するための最新機材を次々と迎え入れた。
1940年代 戦争およびその後
大戦とその余波 ─ 第2次世界大戦は音楽業界にいかなる影響を与え、いかにして時代を象徴するレコーディング・スターを生み出したのか
戦争による混乱で国際的な往来が制限されるなか、軍服に身を包んだスターや亡命してきた音楽家によるレコードを作ることで、EMIは国王と国家のために戦った。一方、この時期に生まれた新たな発明の数々は、その後録音や再生の技術が進歩していくための布石となった。
1950年代 変化の10年
クラシックとジャズ、ポップとの出会い ─ 国民の嗜好の変化に音楽業界はどのように対応したのか
アメリカの音楽が大西洋を越えて流れ込み、英国のポップ、コメディ、ミュージック・ホールのアーティストたちが自身の居場所を模索するなか、プロデューサーとレコーディング・エンジニアの果たす役割が注目されるようになった。
1960年代 サウンドの科学
1960年代のサウンド革命 ─ ロックンロールと新たなレコーディング技術はいかにして世界を席巻したのか
アビイ・ロードのエンジニアたちは音を記録するための技術革新をさらに重ね、やがてポップ・ミュージックの成熟期が到来する。クラシックからコメディ、ビートルズ、シド・バレットへと至るなか、サウンド革命は最高潮を迎えた。
1970年代 アルバムの時代
1970年代とコンセプト・アルバム ─ プログレッシブ・ロック、ポップ、コメディはどうやってこの過渡期の10年を特徴づけたのか
1970年から75年にかけて、プログレッシブ・ロックのピンク・フロイドはアビイ・ロード・スタジオを創作の拠点とした。彼らの壮大かつ複雑な作品はスタジオの技術的水準を再び引き上げ、その一方でフォーク、ロック、ポップも変わらぬ成功を収めた。
1980年代 新たな挑戦の始まり
映画音楽とミュージカルの世界へ ─ 熾烈な競争に直面し、スタジオはどのように考え、新たな照準を定め、行動を起こしたのか
1980年代、アビイ・ロード・スタジオはさまざまな挑戦を受けるべく立ち上がった。なかでも全力を挙げて取り組んだのは映画音楽の録音と、新旧アーティストのバックアップである。『バットマン』からペット・ショップ・ボーイズまで、『スター・ウォーズ』からスティーヴィー・ワンダーまで。
1990年代 スタジオに集まる新旧アーティスト
インディーズの精神 ─ ロックおよびポップの復権、賞に輝く映画音楽やミュージカル、新世代ギター・バンドも育むアビイ・ロード流精神
映画のサウンドトラックと、再びブームとなったポップ・バンドが、アビイ・ロードで録音される作品のかなりの部分を占めるようになり、それにインディ・ロックとクラシカル・フュージョンも加わった。スタジオやミキサー卓の後ろにはメル・ギブソン、ボーイ・ジョージ、ヴァネッサ・メイ、トム・ヨークといった有名どころが入れ替わり立ち替わり姿を見せた。
2000年代 ライブへの転換とファンタジー映画
新時代に受け継がれる伝統 ─ アビイ・ロードはライブ・レコーディングの場となり、デジタル時代は音楽業界を変容させる
2006年【明らかな誤りにつき修正】にスタートしたテレビ・シリーズ『ライブ・フロム・アビイ・ロード』は、実に幅広いミュージシャンたちをスタジオのドアの中に招き入れてきた。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、スザンヌ・ヴェガ、ブロンディ、イメルダ・メイ、エルボー、ポール・サイモンなどのアーティストが、自分たちのヒーローの後を追って第2スタジオに押し寄せ、カメラの前でライブ・パフォーマンスを行なった。
スタジオの内部
扉の向こう側に広がる世界 ─ スタジオはいかにしてアーティストを誘い、刺激を与え、夢中にさせる空間を作り出したのか
コンサート・ホールに匹敵する大きさを誇る第1スタジオ、歴史が深く刻まれた第2スタジオ、より小規模に設計された第3スタジオとペントハウス・スタジオ。アビイ・ロードのレコーディング空間は、それぞれが独自の性格とユニークな特徴を備えている。
実験と発明
設計、組立そして改良 ─ 業界屈指のブレーン集団は、創造力と技術力をどのように追求してきたのか
1948年にアビイ・ロードに導入された磁気テープによるレコーディング技術は、音楽業界に真の意味での革命をもたらした。突如としてアーティストは複数テイクの録音や音の編集が可能となり、これらがミキシング、マスタリングからリミキシング、リマスタリングへの道を開いた。
舞台裏の仲間とドラマ
アビイ・ロード・スタジオの成功を支えた影のヒーローたち
これまで何十年もの間、力を合わせてスタジオの運営を支えてきたアビイ・ロードの主要スタッフたち。そのなかには革新的なエンジニア、率直に意見を言うプロデューサー、もはやカリスマと言ってよいカフェのスタッフ、献身的な管理スタッフなどが含まれる。会議室から奥の間に至るまで、スタジオは素晴らしい人々の素晴らしい働きによって動かされている。
アビイ・ロード小史
スタジオの時系列的な変遷と、その歴史を彩った人々
1931年のグランド・オープニングから、今日のサラウンド・サウンドの成功や映画・テレビとの連動まで、スタジオの歩みを写真と共にたどったクロニクル。併せて、プロデューサーからポップ・スターまで、指揮者からコメディアンまで、アビイ・ロードゆかりの著名人の横顔も紹介する。
あとがき、索引、謝辞
本書に登場する人物、作品たち(掲載順)
オスカー・プレウス/ジョージ・マーティン/エミール・ベルリナー/フレッド・ガイズバーグ/エンリコ・カルーソ/ルイーズ・カークビー=ラン/マリオ・サンマルコ/イグナツィ・ヤン・パデレフスキ/エドワード・エルガー/アラン・ダウアー・ブラムライン/トーマス・ビーチャム/ウォルター・レッグ/アルトゥール・ルービンシュタイン/ヤッシャ・ハイフェッツ/アルトゥール・シュナーベル/ジョン・ブラウンリー/シドニー・トーチ/ノエル・カワード/キャロル・ギボンズ/ファッツ・ウォーラー/ジャック・ヒルトン/チェスニ—・アレン/バド・フラナガン/フョードル・シャリアピン/アルフレッド・コルトー/ピーター・ドーソン/アイリーン・ジョイス/エマヌエル・フォイアマン/ベニアミーノ・ジーリ/フリッツ・クライスラー/アドルフ・ブッシュ/レジナルド・ケル/ヘンリー・ウッド/アンドレス・セゴヴィア/パブロ・カザルス/エドワード・ファウラー/グレン・ミラー/グレイシー・フィールズ/ヴェラ・リン/キャスリーン・フェリア/ジェラルド・ムーア/ハリー・ロイ/リチャード・タウバー/ソロモン/ジョー・ロス/キルステン・フラグスタート/ウォルター・J・リドリー/ノーマン・ニューウェル/ノリー・パラマー/スチュアート・エルサム/ピーター・バウン/マックス・バイグレイヴズ/ルビー・マレー/アルマ・コーガン/エディ・カルヴァート/ピーター・セラーズ/マイケル・ホリディ/ピーター・ユスチノフ/スパイク・ミリガン/フランダース&スワン/ハンフリー(ハンフ)・リトルトン/レイ・アンソニー/キング・シスターズ/レジナルド・ディクソン/クリフ・リチャード/ケン・スコット/ジョン・オグドン/オットー・クレンペラー/ユーディ・メニューイン/エイドリアン・ボールト/エリザベート・シュワルツコップ/ダニエル・バレンボイム/ジャクリーヌ・デュ・プレ/レスリー・フィリップ/エリック・モーカム/アーニー・ワイズ/フランキー・ハワード/トミー・クーパー/ダーク・ボガード/モーリス・シュヴァリエ/エラ・フィッツジェラルド/シャーリー・バッシー/マット・モンロー/ドリフターズ/アダム・フェイス/ジョン・バリー/ヘレン・シャピロ/ビートルズ/ブライアン・エプスタイン/フランク・アイフィールド/シラ・ブラック/ジェリー・マースデン/ジェリー&ペイスメイカーズ/ロン・グッドウィン/ホリーズ/バート・バカラック/
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