●外科診療所の室内原画はダフィット・テニールス(1670年代以降) 油彩 外科医が働いている光景をすなおに描いたものに見えるが、欲望の象徴であるサルが、リンゴを食べながら鉛の玉に鎖でつながれているという、意味深げな要素も含めている。
●男性(ポ・アシン)原画は林官(1836年頃) グワッシュ 巨大な腫瘍ができている腕を肩のところで切断する前に描かれた。症例記録によると、切断手術は60秒以内に終わったという。
●内臓の図画家不詳 パオロ・マスカーニ『普遍的解剖学』より(1823-1833年) 彩色エングレーヴィング 手作業で彩色された合計44点のエングレーヴィングが収録されており、それぞれが身体部位を実物大で描いている。
●脊髄構造、筋骨格構造メディカルアートサービス(1995-1999年) デジタル作品 体内組織と筋骨格構造を描いたこの作品のような医学アートは、いまなお人体解剖学の知識を吸収するのに欠かせない媒体である。
●ヴェネツィアの23歳の女性、コレラ感染前と感染後画家不詳(1831年頃) 彩色点描エングレーヴィング ヴェネツィアの若い女性を描いた2枚の肖像画。コレラの恐ろしさを示している。左は感染前、右は死ぬ4時間前。頰がこけ、皮膚が青くなるのはこの病気の特徴である。
人体への驚異的な執念—— 解剖学、病理学、薬学、治療法、予防法など、数千年におよぶ長い医学の進歩と歴史をたどる。
目次
第1章 身体の地図化
古今東西の解剖図からDNA、遺伝学研究まで
第2章 暮らしの中の医学
医学と信仰、医師、伝統医学、看護師など
第3章 病気の理解と治し方
コレラ、天然痘、鍼治療、薬草学、癌など
第4章 外科手術と傷の手当て
手術、瀉血、切断術、歯科治療、軍事医学など
第5章 脳と心の病気
精神疾患の治療、骨相額、人相学、患者の観点など
第6章 健やかであれ
滋養、お守り、予防法、梅毒とエイズなど