単行本 理不尽な国 ニッポン

理不尽な国 ニッポン

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内容紹介

今日の日本は外国からどう見えているのか? 20年以上滞日経験のある著者がフランス人に向けて書いたベストセラーだが、日本人が読んだほうがはるかに面白い現代日本社会エッセイ。

痛快で辛口の現代日本論!
日本は外国からこう見られている!
——日本人はどこへ来てしまったのか?
グランゼコールの名門「パリ政治学院日本代表」の著者が在日20年以上の経験を生かして論じた日本社会の実態! フランスでベストセラー!

「理不尽」という言葉は本書のキーワードで、西欧的で合理的な考え方が根づいているフランス人から見ると、曖昧さを美徳にして売り物にする日本人は理不尽のオンパレードなのである。(本書「訳者あとがき」)
日本の政治、経済、社会、外交、教育、漫画、ポップカルチャー、女性問題など、幅広い視点から現代日本を辛口批評。

理不尽の極みは、普遍的な原理が日本では通じないという事実である。
幸いなことに、理不尽ではない「理にかなった」面もある。日本人は自身を軽蔑する代わりに、全体的な不満で憂さを晴らしているようで、集団的鬱状態の一歩手前なのである。
……「人生に対する満足度スケール」で、日本人はフランス人より30位も下の90位だ。
しかしそれでも、日本はうまく立ち回っている! きわめて理にかなったわがフランスを経済面で打ち負かすだけでは満足せず、フランス人以上に自分たちを愛しており、少なくともお互い、国の指導者も含めて我慢し合っているように見える。
(本書「序文」より)

◎ 日本では社会を分断するような公開討論が暗黙に抑えられている。
◎ 男女平等や身体障害者問題を担当する単独の専門大臣がいない。
◎ 先進国とはとても言えない「世界報道自由度ランキング」の低さ。
◎ 114位という世界でも最低レベルの「世界男女格差指数」。
◎ 移民に対して消極的で、難民にほとんど門戸を閉ざしている。
◎ 日本の人口はフランスの約2倍なのに、生活保護受給家庭は同数。
◎ 善と悪は絶対的な意味で存在せず、普遍的な原理が通じない。
しかしそれでも、理不尽な日本のほうがうまく立ち回っているのではないか?


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【著者】ジャン=マリ・ブイス(Jean-Marie Bouissou)
1950年パリ生まれ。歴史家で専門は現代日本。フランスのグランゼコールを代表する名門パリ高等師範学校(ENS)出身。
1975年、リセ・フランコ・ジャポネ・ド・東京(現在の東京国際フランス学園)に赴任するために初来日。その後、東京大学など日本の著名大学で教鞭をとり、現代日本の政治や経済政策についての著書を数多く発表する。1982年から1984年まで、東京日仏学院(現在のアンスティテュ・フランセ東京)付き研究員を務め、ついで九州日仏学館(現在のアンスティテュ・フランセ九州)の館長となる(1984〜1989年)。
1990年、やはりグランゼコールの名門であるパリ政治学院研究科長に就任するために、フランスに帰国。日本とフランスの大学の橋渡し役として日仏を往復するほか、各種の大学で教鞭をとる。2013年、パリ政治学院日本代表に就任して再来日、現在に至っている。
日本在住歴は20年以上におよび、その間、日本の政治、経済、社会、外交から漫画、ポップカルチャーまでの幅広い研究に加え、女性問題や子育て問題など、フィールドワークを広げている。
日本に関するおもな著書に、『日本の地政学』、『マンガ! 日本漫画の歴史と宇宙』、『相撲がダンスに教えるもの————新しい日本モデル』、『戦後日本』などがあり、フランスでは最新刊の本書『理不尽な国ニッポン』も含めてベストセラーになっているものも多い。

【訳者】鳥取絹子(とっとり・きぬこ)
フランス語翻訳家、ジャーナリスト。お茶の水女子大学卒業。
訳書は、『素顔のココ・シャネル』、『私はガス室の「特殊任務」をしていた』、『バルテュス、自身を語る』、『フランス人は子どもにふりまわされない——心穏やかに子育てするための100の秘密』、『帝国の最期の日々』、『崩壊学——人類が直面している脅威の実態』など多数。

目次・収録作品

【目 次】
 日本の読者のみなさまへ——私が執筆した理由
 序 文
   なんとも理不尽な国…… 日本に戻る
第1章 「日本のほうがいい!」——24時間ですべてがわかる
   2014年4月、シャルル=ド=ゴール空港で/ サービスと事業主/ 工事現場と配達員/ ヘルメット物語
第2章 日本のすべてが電車にある——新幹線
   民族統合の術/ 人の流れの整理術/ 個人空間の神聖化/ 列車はすべてが禅/ 新幹線で見る社会

それほど完璧ではない国
第3章 影と暴力

   見捨てられた人たち——自殺と孤独死/ 逃げる人たち——「蒸発」と「引きこもり」/ 暴発する人たち——社会の圧力と三面記事的な殺人事件/ 逸脱的な暴力に魅せられる?/ 公の暴力——勾留/ 毎日、死を意識する48年間……
第4章 ハラスメントと差別
   鉄の天井と、政府の無関心/ ハラスメントといじめ/ 構造的ないじめ社会?/ いじめ——学校での暴力/ 等級づけという強迫/ 沈黙の掟/ フランスと日本——どっちもどっち?
第5章 それほど模範的ではない企業——仕事地獄
   週100時間労働の国/ 仕事の果ての死——過労死/ 「労働時間を減らして」……増やしていく/ 名ばかりの処罰と、ごまかしのプレミアム・デー
第6章 それほど模範的ではない企業——モデルの崩壊
   「メイド・イン・ジャパン」はどこへ行ったのか?/ ベンゼンからヒ素まで含む寿司?/ 卑劣な原子力業界/ 不正会計の大きな代償

社会をつくる日本人製造工場
第7章 息子を保育園へ連れていく道すがら

   基本の教訓——団結と寛容/ 枠組と規律と優しさ/ 地域が見守り活動……/ ……われらの警官も、地域全体とともに
第8章 地域共同体のために何かをする
   汚れたオムツの物語/ ケネディvs孔子/ タナカ君は部活に、マルタンは社会問題に参加する……
第9章 「日本は自由ではない!」
   無数の束縛がある国/ 禁止されていないのに許されないこともある/ 不倫——社会が法律になるとき……/ ……社会自らが処罰する……/ ……そして最高裁が証明する/ 車を持つのも自由ではない!/ 国の無駄な努力——トイレと騒音
第10章 「いつも謝る日本人」
   社会の歯車の潤滑油/ 公の謝罪——国家団結の儀式/ 電通とフランス・テレコム/ 国を危ぶませる者に不幸あれ!/ もしフィヨン氏が日本人だったら……/ 不可能な謝罪——戦争犯罪
第11章 病気の社会を治療する——世界を変えるのか、治すのか?
   「私たちは無ではなく、すべてでもないだろう」/ 戦闘的な忍耐の学校/ 火の粉は日本で飛び火するか?/ #MeToo を待たなかった女性たち——伊藤詩織/ 防波堤が決壊するとき——2018年5月
第12章 病気の社会を治療する——実用主義、勧告、慎重さ
   実用主義の女性形/ セクハラ——「勧告と࠮ﲬ」/ 事態は進んでいる……/ ……まだ緩い……/ ……出る杭には要注意!(その1)/ いじめ——共同体全体を巻き込む/ 抜本的改革の失敗

国をつくる——まかり通る欺瞞
第13章 国物語の国

   きわめて理不尽な国/ 考えてはいけないこと/ 知りたくないこと/ 知っているが話さないこと/ 日本が「本当の日本人」だったとき——江戸の神話/ 大河ドラマ——ためになる過去
第14章 国をつくるためのテレビ——NHK
   きわめて国営的な公共放送/ 全員集合の盛大なミサ——紅白歌合戦/ 誰も勝者がいない——日本版「ザ・ヴォイス」/ 言及しないのが役回り——司会者と専門家/ 世界の安全の短略化——情報/ 日本の価値を高める外国人
第15章 国をつくるためのテレビ——若い精神を養成する
   食べ物と季節/ 社会と技術を身につける/ きわめて理不尽なジェンダー
第16章 国をつくるためのテレビ——安心安全マシーン
   正反対のリアリティ番組——みんな優しい!/ 麺類物語——みんな美味しい!/ 食べること、なんという幸せ!/ タレント——気晴らしと「説明」と安心のばらまき
第17章 スポーツと選手——品行方正の世界
   いかにも日本的なスポーツ——野球/ 甲子園——日本の美徳のショーウィンドウ/ 信じられない日本のサポーター/ 模範的なチャンピオンと、おとなしいコメンテーター/ イチロー——日本らしいスポーツの完成版/ スノーボードからカーリング——日本の美徳すべて
第18章 スポーツと選手——国宝「大相撲」
   神道、天皇、領地、そして女性/ 番付に人生を捧げる/ 状況に応じて変わるスポーツ——「品格」/ グローバル化の試練
第19章 季節と日々の儀式——繰り返される時間
   儀式から儀式の人生/ 祝日にも意味がある/ 桜——はかなさと新たな出発/ 地域の共同体が新たに活気づく……/ 祭りへ向かう道すがら/ お盆——死よりも生のほうが強い/ アルコールによるコミュニケーションの儀式
   正月————形式通りに年を始める / 空白の月はない! 穴埋めは輸入もの

フランス人は分裂、日本人は団結——宗教とメディア
第20章 宗教制度——結合とコラージュ

   生活を中心にすえた奇想天外なコラージュ/ 一神教を食い止めた国/ それほど狂信的ではないセクト主義/ 道徳に関与しない宗教——状況で変化するモラル/ 国家の共通善
第21章 宗教制度——実践
   きわめて密度の高い宗教施設/ 信仰心がなくてもどんどん実践/ 共有される市場——生と死と縁起物/ 活気あふれる宗教は道化芝居?/ まだ生きている国民の文化遺産/ 論争にもならない政教分離
第22章 メディア——拘束される一大勢力
   世界最大の日刊紙/ 盤石な財政基盤/ 事前に調整された情報と自己検閲——記者クラブ/ 申し合わせたような政治的言説と象徴的な意見の違い/ インターネットは不合格?/ 週刊誌——スナイパーとして国家団結の要因に
第23章 メディア——圧力下にあるプレス
   変幻自在な政治的中立の義務/ 全方向からの威嚇行為/ 出る杭には要注意(その2)/ 二重の締めつけ——「特定」秘密保護法と「共謀罪」/ 締めつけ——特定秘密と想定できる犯罪/ 報道の義務と試練/ 政権反対はつねに功を奏する/ 社会的変化の主役

日本はどこへ……? 基本と間違い
第24章 終わった国?

   萎縮した日本——経済/ 萎縮した日本——人口/ 二つの足かせ——生産性の低さと国の借金/ 二つの足かせ——生産性と借金/ 閉塞感で意気消沈?/ 逃避のリスク
第25章 失業に打ち勝った国?
   セーフティ・ネットワークの脆弱さ/ 職業に貴賎なし/「女性—シニア—ロボット」——魔法の呪文?
第26章 移民のいない国?
   反移民という幻想/ ひそかな開国と、高尚な言い逃れ/ オーダーメイドの措置——割当とポイント制/ 移民のオーダーメイド/ 「学生」、「難民」そして不法滞在者/ 「国体」に加入する
第27章 犯罪に打ち勝った国?——警官と地域とヤクザ
   自制と過剰な人数/ 地域の交番/ 警官に会ったときのいい話/ お巡りさん、優しい警官/ 当局とヤクザ、古いなれ合い/ 「犯罪上の妥協」?
第28章 犯罪に打ち勝った国?——マフィアの息の根をとめる方法
   同意の悪——柔軟性と……/ ……そして狙いを定めて毅然と/ 地域犯罪による日々の稼ぎ/ 活動を広げすぎた結果/ 第1段階——穏やかに始める/ 第2段階——地方自治体を動員する / 第3段階——「反社会的勢力」は国から村八分/ 撲滅は本当か……?/ ……それともうまく統合したのか?
第29章 幸せな国なのか?
   幸せの条件、しかし幸せではない……/ 日本型幸せの三本柱/ 安全と食べ物——なんという幸せ!/ 小さな最高の瞬間/ 日本人としての幸せ/ 不況時のための小さな幸せ

日本は復活できるのか?——将来への道すじ
第30章 集団的活力の問題

   人間、脅威、夢そして指導者/ 結集力を削ぐ戦略?/ 萎縮して不明瞭な国際的立ち位置/ 大プロジェクトに免疫のある国
第31章 人的資源の問題
   活力は下がっている? 若者の問題/ 洞察力が高い? 安定という危険性/ 世襲制の指導者階級/ 積極性に欠けた起業家/ 未来指向ではなく、日常指向の企て/ ベンチャー企業はどこへ?
第32章 日本の新たな挑戦——社会に活力を取り戻す
   (1)新しい移民政策の実験室/ ウィンウィン・モデルになる可能性/ 門戸開放——2018年11月 / (2)新しいジェンダー関係の実験室/ 権利のモデルか、契約のモデルか?/ 革命のない変化と、戦争のない勝利
第33章 日本の新たな挑戦——国の借金を忘れる
   表向きほど重くはない重荷/ 借金は普通の貨幣と同じ?/ 政治的に耐えうる借金/ ……あげくの果ては借金の取り消し?
第34章 日本の新たな挑戦——低成長で成功する
   確実な2つの金利所得源/ きわめて高度なハイテクショー/ 新たな日本列島改造論/ より以上ではなく、あるもので最善を尽くす/ 少しの人口と、少しの期待が切り札?
 謝 辞
 訳者あとがき
 参考文献

著者紹介

ジャン=マリ・ブイス (ブイス,J=M)

パリの高等師範学校卒業。2016年までパリ政治学院研究科長、同日本代表を務める。日本在住は延べ20年以上。ベストセラー『漫画! 日本漫画の歴史と世界』ほか、日本の地政学や相撲などの著書がある。

鳥取 絹子 (トットリ キヌコ)

フランス語翻訳家。ジャーナリスト。お茶の水女子大学卒業。訳書に、『素顔のココ・シャネル』、『バルテュス、自身を語る』、『フランス人は子どもに振り回されない』、『帝国最期の日々』など多数。

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