単行本 薬を食う女たち

薬を食う女たち

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  • 読売 日経 東京

内容紹介

覚醒剤や大麻、睡眠薬……ドラッグと女性たちとの多様な関係を取材。トラウマと逸脱、カネとセックス、生きざまと死生観がハードボイルドに描かれる。ルポ文学の金字塔!

ブレイディみかこ推薦!
「これは女の声たちであり、詩であり、ノンフィクションと文学の裂け目を繋ぐ新しい表現だ」

覚醒剤や大麻、睡眠薬……そして現代を生きる女性たちの身に起こるさまざまな事柄、
葛藤し抵抗する姿を丹念に描き、新たな表現へと昇華(あぶ)る
フィクション/ノンフィクションとは何かを問う《ルポ+文学》の新たな金字塔、ここに誕生。

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◉あとがきより

彼女はどんな本の登場人物としてありうるか。わたしは彼女たちを、標本にも証言者にも被験者にもしたくなかった。あるいは、快楽主義の現代人女性、破廉恥な語り手、貧しい肖像、被抑圧者、被害者、病者、愚者、そのすべてでありながら、そのすべてを踏みこえるほどの主人公にしたかった。

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◉本文より
「おぼえてないですね」まただ。ここぞという場面にかぎって彼女たちはそう言う。はぐらかされるのがわたしの仕事だ、とインタビュアーは思った。

はぐらかしているわけではなかった。まじめに思い出そうとしても漠然としてる、ただそれだけ。

はじめて薬を食ったのはいつですか。やっぱり幻覚とか見るんですか。セックスがよくなるって本当ですか。どういう状況で捕まりましたか。……

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◉あらすじサンプル
「第1章 インタビュー」......「おぼえてないですね」。まただ。かれんも言った。はぐらかされるのがわたしの仕事だ、とインタビュアーは思った。かれんははぐらかしているわけではなかった。はぐらかすなら嘘八百をさくっと述べたほうが怪しまれないし、嘘は借金よろしく雪だるま式に増えていくから労と対価が釣り合わない。まじめに思い出そうとしても漠然としてる、ただそれだけ。
「第2章 産毛」......杏(あん)と梨々(りり)は「古い友達」。中学の頃、杏は梨々を援デリグループに誘った。梨々は援交の仕組みを業者から盗み、派遣型買収ビジネスを始める。儲けるだけ儲けて梨々はとつぜん手を引いた。めざといリーダー、ビジネスの才覚。次に来たスカウトはおっパブ、バイブバー、ギャルスナック……。ぜんぶ杏と梨々でふたりじめ。病めるとき、悲しみのとき、貧しいとき、ふたりは「シャブやりたい」と言い合った。
「第9章 住めば都」......2011年3月11日、夫が帰ってこなかった。やがて帰ってこない夜が増えて、ときどき帰るとすぐにシャワーを浴びた。ばかな人だ。さすがにわかる。眠れない。息がきれる。鬱病になるような人間ではないと思ういっぽう、行くべき場所は心療内科しか思いつかない。「鬱病だね」医者が抗不安剤と睡眠導入剤の名をパソコンに打つ。薬は飲めば飲むほど飲まずにいられなくて、意識がときどき途切れ、いらいらがつのり、家へと帰る道すがら、今夜のおかずはなにを壊してやろうかとらんらんした。
「第11章 こつこつ」......七瀬(ななせ)は人生をふりかえる。矯正プログラムでは、人生を見つめなおすのが唯一の方法だと言われた。自分が生まれる前から振り返るべきか。祖母も、母も、娘への期待が大きすぎた。どうかあんな娘に育ちますように、と祖母は希望のほうから母への期待を膨らませた。どうかあんな子に育ちませんように、と母は不安のほうから七瀬への期待を肥えさせた。娘はますます誇らしくない人間になって母の期待に応えようとした。高校に入って間もなく、七瀬は家出した。

著者紹介

五所 純子 (ゴショ ジュンコ)

1979年大分生まれ。文筆家。共著に『虐殺ソングブックremix』、『1990年代論』、『心が疲れたときに観る映画』など映画・文芸を中心に多数執筆。

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