シリーズ: 
  1. 文藝

雑誌

ブンゲイ2019ネントウキゴウ

文藝 2019年冬季号

雑誌 A5 ● 552ページ
発売日:2019.10.07

定価1,485円(本体1,350円)

×品切・重版未定

  • 第56回文藝賞発表。受賞作:宇佐見りん「かか」、遠野遥「改良」/特集「詩(うた)・ラップ・ことば」対談:いとうせいこう×町田康

    創刊以来86年ぶりの3刷を記録した「文藝」。次号10月7日発売の冬季号は第56回文藝賞発表、ビートたけしの北野武名義の初小説、クリープハイプ・尾崎世界観の新作小説を掲載。

    ●文藝賞発表など、充実の小説掲載
    ビートたけしが、北野武名義での初小説となる中篇「足立区島根町」を発表。初めて自身の筆で幼少から高校時代までを綴っています。また今年上半期の芥川賞を受賞し、今最も注目される文藝賞受賞作家・町屋良平の新作小説「カタストロフ」を掲載。さらに、その町屋氏や50万部を突破した『おらおらでひとりいぐも』の著者・若竹千佐子を輩出した新人文学賞「文藝賞」を発表。選考委員の磯崎憲一郎、斎藤美奈子、町田康、村田沙耶香各氏によって選ばれた受賞作、宇佐見りん「かか」・遠野遥「改良」の2作を全文一挙掲載します。

    ●尾崎世界観の新作小説ほか、注目の特集
    空前の反響を得た前号の「韓国・フェミニズム・日本」特集に続き、今号の特集は「詩(うた)・ラップ・ことば」。特集内ではロックバンド・クリープハイプでボーカル・ギターとして活躍し、『祐介』等の文筆活動でも注目を集める尾崎世界観が、小説「バズの中にはおよそシェア100万個分の栄養素が含まれている」を発表。いとうせいこうと町田康が「詩」と「歌」の関係性をめぐって対談。そして、アンジュルムを卒業しソロ活動をスタートしたばかりの和田彩花、話題のラッパーMOMENT JOON・荘子it・なみちえ、俳人の佐藤文香らが自らの「ことば」を自由に突き詰め、創作表現と向き合います。

    また、「あまちゃん」「いだてん」の音楽などでも知られ、札幌国際芸術祭の芸術監督をつとめたミュージシャン大友良英による特別寄稿「二〇一一年からの『踏み絵』そして『盆踊り』~あいちトリエンナーレを巡る個人的な所感」、モデル・女優の長井短による読書日記、女優の夏帆による初書評も掲載。

    さらに、絲山秋子の新作「まっとうな人生」の連載がスタート。映画化もされた名作『逃亡くそたわけ』の続編ともなる長編です。他、岸政彦×柴崎友香「大阪」、磯部涼「移民とラップ」などレギュラー連載陣も充実の内容です。

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    ますます勢いを増す「文藝」にご期待ください。

  • 【第56 回 文藝賞発表】

    [受賞作]
    宇佐見りん「かか」(139枚)
    壊れてしまった母(=かか)を救うため、19歳の浪人生うーちゃんはある祈りを抱え熊野へ旅に出る。20歳の野性味あふれる感性で描き出す、痛切な愛と自立の物語。

    遠野遥「改良」(122枚)
    ただ美しくなりたいだけの男の私は、お気に入りのウイッグ、ニット、スカートを身につけ、入念なメイクで外へ出た――冷徹な文体で人間の欲望と孤独を描き切る、28歳の大型新人。

    [受賞記念対談]
    村田沙耶香×宇佐見りん「進化する〝母と娘〞の物語」
    磯﨑憲一郎×遠野遥「圧力と戦う語り口」

    [選評]
    磯﨑憲一郎
    斎藤美奈子
    町田康
    村田沙耶香

    受賞の言葉/選考経過/第57回文藝賞応募規定

    【創作】

    北野武「足立区島根町」(102枚)
    俺の一番古い記憶といえば――小説家・北野武の身体を通じて溢れ出る「あの時代」の風景、音、匂い、手触り……そして父・菊次郎と母・さきのこと。文芸誌初登場となる傑作中篇!

    町屋良平「カタストロフ」(117枚)
    おれ、死んでるかもしれない――会社のバドミントン部でダブルスを組むことになった新入社員の鳥井と菅は、上達するにつれ互いに過去の記憶がないことを知り……。新サラリーマン・スポーツ小説誕生。

    文藝賞受賞第一作
    山野辺太郎「孤島の飛来人」(233枚)
    自動車会社で働く「僕」は六つの風船を背中に背負って、ビルの上から旅立った。目指すは父島。だがたどり着いた先は……。昨年度文藝賞受賞作「いつか深い穴に落ちるまで」に続く、受賞第一作。

    清水裕貴「溶ける指」(103枚)
    今日も夢を見た。窓の向こう、庭から誰か懐かしいひとがやってくる――既に起きたことと、これから起こるかもしれないこと。それを静かに見つめる私。「R‐18文学賞」大賞受賞の気鋭による飛躍作。

    大前粟生「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」(134枚)
    僕もみんなみたいに恋愛を楽しめたらいいのに。大学二年生の七森は〝男らしさ〞〝女らしさ〞のノリが苦手。こわがらせず、侵害せず、誰かと繫がることはできるかな? 最先端の感性で描く著者初の中篇。

    ―――――――
    【特集】
    詩(うた)・ラップ・ことば

    〈対談〉
    いとうせいこう×町田康「うた、ラップ、小説  日本語の自由のために」

    〈小説〉
    尾崎世界観
    「バズの中にはおよそシェア100万個分の栄養素が含まれている」

    〈創作〉
    佐藤文香 「図々しく窓は」
    MOMENT JOON「洞窟」
    和田彩花「令和を迎えたアイドル」
    なみちえ「greeting」
    鈴木一平+山本浩貴(いぬのせなか座)「「庭に掃除機をかける」と、その上演について」
    荘子it 「OUR U OR」(一人称複数の書き手たちによって期待された聴き手マラ子、若しくは)
    近江瞬 「狭間に揺れる」

    〈エッセイ〉
    高島鈴「シスター、背中は任せた」

    〈論考〉
    韻踏み夫「ライミング・ポリティクス試論――日本語ラップの〈誕生〉」

    【新連載】
    絲山秋子「まっとうな人生」
    富山で偶然再会した二人が、車に乗って向かう先にあるものとは――。『逃亡くそたわけ』から十四年、花ちゃんとなごやんが帰ってきた。待望の長篇、いよいよ連載開始!

    【短篇】
    小川洋子「元迷子係の黒目」
    佐々木譲「遺影」

    【特別対談】
    くぼたのぞみ×斎藤真理子
    「新たな視野をひらくアディーチェの文学翻訳・移民・フェミニズム」

    【特別寄稿】
    大友良英 「2011年からの「踏み絵」そして「盆踊り」 あいちトリエンナーレを巡る個人的な所感」

    【連載】
    磯部涼「移民とラップ」【第2回】川崎を歌う
    いとうせいこう「福島モノローグ」【第3回】RADIO ACTIVITY
    岸政彦×柴崎友香 「大阪」 【第3回】再開発とガールズバー/環状線はオレンジ、バスは緑、それから自転車
    最果タヒ「パパララレレルル」【第10回】恐竜の卵/お母さんの日記/ラブレター
    宮内勝典「二千億の果実」【第7回】幽霊船/食物連鎖/アンデスの聖餐/三番目のルーシー
    津原泰水「夢分けの船」【第13回】
    恩田陸「灰の劇場」【第24回】
    町田康「ギケイキ」【第27回】

    季評「文態百版」人間の記号接地問題 2019年7月〜9月 山本貴光
    文芸的事象クロニクル 2019年6月~8月 山本貴光

    「この装幀がすごい!」第3回 ゲスト 青柳菜摘/川名潤・佐藤亜沙美
    「はばたけ!くらもと偏愛編集室」第3回 倉本さおり
    「反安心安全読書日録」第3回 長井短

    【書評】
    阿部和重『オーガニズム』【評】フィクショナガシン
    王谷晶『どうせカラダが目当てでしょ』
    長田杏奈『美容は自尊心の筋トレ』
    北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』【評】野村由芽
    村田沙耶香『生命式』【評】朝吹真理子
    島田雅彦『君が異端だった頃』【評】吉川浩満
    ミシェル・ウエルベック/関口涼子訳『セロトニン』【評】樋口恭介
    川上弘美『某』【評】夏帆
    江川隆男『すべてはつねに別のものである』【評】福尾匠
    山下壮起『ヒップホップ・レザレクション』【評】大和田俊之
    ニケシュ・シュクラ/栢木清吾訳『よい移民』【評】綿野恵太

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この本に寄せられた読者の声一覧

こちらに掲載されている山野辺太郎「孤島の飛来人」を何度も読み返しています。
デビュー作『いつか深い穴に落ちるまで』の楽観的で笑いをさそう出だしから一変して、本作は冒頭から切羽詰まったトーンが配され、どこか不穏でせつない雰囲気が漂います。
人類が「風船で飛行する」という奇抜な着想と温かいユーモアは健在ですが、二重の生を生きる男の葛藤と、うつくしい島の描写や人々の交感のあり方に心が震える作品です。
終わらない「戦後」を未来に向けてひらいた小説としてもすばらしいだけに、雑誌でしか読めず、読者の手に届きにくいのは残念です。
御社HPにも掲載のとおりテレビ番組でも紹介され、多くの方が山野辺太郎を知りたがっている今、単行本化を強く願います。 (金環日食 さん/40歳 女性)

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