単行本

ドンゾコ

どん底

一流投手が地獄のリハビリで見たもの

元永 知宏

受賞
全国学校図書館協議会選定図書

単行本 46 ● 208ページ
ISBN:978-4-309-27947-3 ● Cコード:0075
発売日:2018.05.14

定価1,485円(本体1,350円)

×品切・重版未定

  • 斉藤和巳、石井弘寿、森慎二、西本聖……。球界の第一線で活躍しながら故障。手術、リハビリと復活を目指しどん底の苦闘をした6人の名投手に直接取材。その姿と真情に迫った1冊。

    壊れる前には戻れない……
    でもまたあのマウンドに上がりたい。

    いっときは高額の年俸と名声を得たピッチャーが肩やひじを壊したときに何を思ったのか?
    手術→リハビリに耐えながら何を考えたのか?

    誰しもの記憶に残っている6人のプロ野球の名投手。
    彼らがどん底で見た風景と真情に迫る。


    【登場選手】
    森慎二        「あっ、肩がとれた……」
    斉藤和巳       「毎日、高いところから落ちる夢を見た」
    野村弘樹       「痛すぎて、引退試合でも涙が出なかった」
    石井弘寿       「形の違う石ころを丁寧に積み上げていく毎日だった」
    川崎憲次郎      「投げられない僕にできたのは走ることだけ」
    西本聖         「成功確率60%の手術に野球生命をかけた」

  • 【目次より】

    はじめに

    第1章
    森 慎二  『メジャーを目指した男の夢が消えた1球』

    問題はどれも克服できるはずだった
    投げた瞬間、「あっ、右腕がとれた!」
    脇腹から右腕が生えている……
    MLBで初めてのピッチャーの肩脱臼
    痛みよりも恐怖感との戦い
    150キロを投げた自分はもう存在しない
    後悔も「やり切った!」という思いもない
    急逝した森の思いを形にする男たち

    第2章
    石井弘寿  『WBC日本代表の苦悩』
    「投手失格」で野手転向からの復活
    どれだけ投げても壊れない
    初開催の国際大会でみんなが手探り
    張りを我慢して投げるのがプロのピッチャー
    試合で投げられるまで1年半か2年の重症
    不揃いな小石を丁寧に積み上げる作業
    一軍のマウンドに上がることだけ考えて
    コーチとしてチームに恩返しをしたい
    ケガをして初めて人のありがたみがわかる


    第3章
    斉藤和巳  『沢村賞投手の最後の6年』

    球団、ファン、みんなに支えられた6年間
    高校時代から悩まされたルーズショルダー
    一軍の打者に打たれて感じたプロの壁
    師匠の小久保から学んだこと
    肩を手術したらもう昔と同じじゃない
    毎日、高いところから落ちる夢ばかり見た
    思うように進まないのがピッチャーのリハビリ
    痛みや違和感が出たらスタート地点に逆戻り
    自分の可能性が見えなくなって引退を決意
    リハビリを続けたのは個人的な達成感のためではない
    手術を決断するのは自分。責任は本人にある


    第4章 川崎憲次郎  『FA移籍後のつらすぎる4年間』
    45分間で300球の投げ込み
    高校二年の秋に初めてのひじ痛
    4年目にひじを痛めて1年間投げられず
    ブランクを乗り越えて日本シリーズMVP獲得
    恩師の助言でシュートを会得して沢村賞投手に
    何かを捨てない限り新しいものは身につかない
    FA宣言をしてドラゴンズを選んだ理由
    リハビリ中にできたのは走ることだけ
    ファンの言葉でもう一度頑張れた
    4年間のつらさが全部吹き飛んだ引退試合
    肩やひじを絶対に壊さない方法はない
    体が強くなれば厳しい練習に耐えられる
    無駄に思える練習がいつか役に立つ


    第5章 野村弘樹  『ひじを痛めて引退した101勝サウスポー』

    日本一の翌年に左ひじに違和感が……
    大工道具のような器具で軟骨が削られた
    手術をすれば元通りに投げられるはずだった
    一杯だけの酒で傷口が紫に変色
    手術に成功しても投げられなければ意味がない
    どうやって痛みを抑えて試合に臨むか
    普通の日常生活を送るための手術
    ひじが痛すぎて引退試合でも涙が出なかった
    甲子園で投げたことと故障は関係ない
    コーチになって選手目線で考える
    計画に沿って鍛えることが重要
    ピッチャーにはひとりの時間が必要
    マウンドで恥をかきたくないから頑張れた
    大学野球には大学野球の厳しさがある
    さまざまな野球に接し勉強する


    第6章 西本聖  『脊椎の手術からの奇跡の復活』

    風呂に入っても温かさを感じない
    もし手術に失敗したら車いす生活になる
    まだ野球をやり切ったと思えなかった
    先発した試合は5回以上投げた
    自分がふがいなくて感情を爆発させたことも
    二軍落ちしても腐らず自分のスタイルを貫く
    5勝を挙げたが自由契約に
    長嶋監督を日本一にしたい
    自分の体を守るための方法
    先発登板のあとに完全休養日を
    ピッチャーが肩やひじを痛めるのはコーチの責任
    キャッチボール禁止で疲労が激減
    大事なのはコンディショニングと鍛え方
    肩やひじに負担をかけない投げ方がある
    現状を把握して課題を理解させる
    コーチは選手から答えをいただく

    おわりに

著者

元永 知宏 (モトナガ トモヒロ)

1968年愛媛県生まれ。立教大学野球部4年時に23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。近著に『補欠のミカタ』、『それぞれの甲子園』『野球と暴力』他多数。

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