ミハイル・A・ブルガーコフ (ブルガーコフ,M・A)
1891年、ウクライナ生まれ。キエフ大学医学部卒業後、開業医を経て文筆活動を始める。その後モスクワに出て、長編『白衛軍』『犬の心臓』や本書『巨匠とマルガリータ』の執筆に着手したが、ソヴィエト批判の書と見なされ、ロシア国内で刊行することはできなかった。25年、中短編集『悪魔物語』を発表するも批判を浴び、26年にモスクワ芸術座で上演された戯曲『トゥルビン家の日々』でようやく成功を収めた。しかし、その後も不遇の時代は続き、本書や『モリエールの生涯』『劇場』といった長編の執筆に没頭し、失意のうちにこの世を去った。1960年代後半から再評価が進み、80年代後半からは完全に名誉回復がなされ、全作品が刊行された。