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単行本

チュウゴクノハンタイセイカツドウカタチ

中国の反体制活動家たち

閃光の抵抗運動史

イアン・ジョンソン

竹田 円

単行本 46 ● 456ページ
ISBN:978-4-309-22930-0 ● Cコード:0022
発売日:2024.08.14

定価3,960円(本体3,600円)

○在庫あり

  • 中国の公式記録から消された飢饉、民族差別、大虐殺、疫病などの過去100年にわたるさまざまな事件を史実として明るみにし、静かに抵抗してきた文化人たちの地下活動の全貌を初めて紹介。

    記憶を掘り起こす過酷で果てしない闘い!
    延安整風運動、1960年の大飢饉、文化大革命、天安門事件……
    何が起きたのか? 膨大な犠牲者はいかに迫害され、亡くなったのか? 
    ピューリッツァー賞作家が明かす地下歴史家たちの命がけの奮闘!

    著者
    イアン・ジョンソン  Ian Johnson
    カナダ出身のジャーナリスト。1984年に中国に留学して以来、通算20年以上中国に滞在し、記者として、また研究者として、著述家として同国を見つめてきた。中国の一般市民に密着した息の長い取材が持ち味で、気功集団「法輪功」への政府の弾圧と庶民の抵抗などを取り上げた『ワイルドグラス』(NHK出版)、さまざまな信仰、伝統行事のあり方を通じて中国社会をつぶさに描出した『信仰の現代中国』(白水社)において、その手腕はいかんなく発揮されている。2001年には法輪功に関する取材でピューリッツァー賞を受賞した。本書は、中国共産党による歴史支配の実態と、これに抵抗し、政府が押しつける歪んだ「正史」の誤りを正すために中国国内で活動を続ける作家、映像作家、ジャーナリストたちなどの「地下歴史家」の闘いの記録。2023年9月の発売と同時に大きな反響を呼び、『ニューヨーカー』、「エコノミスト」、「フィナンシャル・タイムズ」で「2023年の最もすぐれた本」に選出されたほか、多数のメディアで高く評価されている。

  • 目次
    序 文
    第1部 過去
    第1章 序――記憶の風景
    記憶――河西回廊
    第2章 溝
    記憶――壁と向き合う
    第3章 犠牲
    記憶――竹簡
    第4章 星火
    記憶――再生
    第5章 武器としての歴史
    記憶――紅い太陽はいかにして昇ったか
    第6章 神話としての歴史
    記憶――中国国家博物館
    第2部 現在
    第7章 忘却の限界
    記憶――ある地主の邸宅
    第8章 失われた都市
    記憶――雪の訪問
    第9章 門
    記憶――血統
    第10章 記憶
    記憶――鉄流氏のカフェ
    第11章 肉切り包丁を下ろして
    記憶――中国の村を記録する
    第3部 未来
    第12章 ウイルス
    記憶――柩のない埋葬(軟埋)
    第13章 帝国
    記憶――消えた倉庫
    第14章 隠者の住処
    第15章 結論――地下世界の歩き方を学ぶ
    謝辞/訳者あとがき/補遺――中国の地下歴史探究/原注/書誌/図版出典/索引


    本書「序文」より
    共産党の支配がはじまってから50年間、彼らは孤立していた。彼らの論文、芸術作品、著書は、治安機関によってすみやかに没収された。こうした人々が存在することさえ、世間にはほとんど知られていなかった。
     しかし、ここ20年間で、地下歴史家たちは互いに手を結び、そのネットワークは中国全土に広がった。繰り返される弾圧も彼らの結びつきを断ち切ることはできなかった。PDF版の雑誌や書籍、ダウンロード可能な動画などのデジタル技術をはじめ、検閲をかいくぐる創意工夫に満ちた方法を通じて、彼らは、共産党による歴史の粉飾に異議を申し立てる作品を簡単にシェアできるようになった。これらの技術と戦略によって、中国の叛史家たちは政府の過酷な圧力にも耐えられるようになった。

    歴史がいかに重要か、その確信が地下歴史家たちの運動の原動力だ。そして彼らの運動はここ20年間で少しずつ勢いを増している。……全員が、職場を追われ、未来を絶たれ、投獄される危険を冒しながら、地下出版の雑誌、発禁処分の本、政府の許可を得ていないドキュメンタリー映画を発表している。
    そうやって、党が描く過去の誤った姿を正し、ますます強権的な権威主義的支配に傾きつつある国を変えようとしている。彼らは新たなテクノロジーを駆使して、政府の失策を世に知らせている。多くの場合、現在の問題が、過去の悲惨な出来事とどうつながっているのかをあきらかにしながら。

    中華人民共和国の黎明期に数十万から数百万人もの小規模地主が殺された。これまでタブーとされてきたこうした話題が、詳細な調査に基づく歴史小説のなかで掘り下げられるようになった。厳しい検閲によって歴史的文書にぽっかり空いた空白を芸術作品が埋めている。政府に批判的な中国国内の思想家たちは、かつて孤独を感じていたが、いまでは、権威主義的支配に反対の声を上げる中国人たちと、強力な集合的記憶を共有している。

著者

イアン・ジョンソン (ジョンソン,イアン)

「ニューヨーク・タイムズ」、「ウォール・ストリート・ジャーナル」などの著名な新聞雑誌の特派員で、社会記事を寄稿。2001年に中国の歴史・宗教の取材でピューリツァー賞受賞。報道関連の受賞歴もある。

竹田 円 (タケダ マドカ)

翻訳家。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。スラヴ文学専攻。訳書に、グリーン『モラル・トライブズ』、ベヴィンス 『ジャカルタ・メソッド』、ポメランツェフ 『嘘と拡散の世紀』(共訳)ほか。

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