読者の声

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くるまの娘

単行本

クルマノムスメ

くるまの娘

宇佐見 りん

定価1,650円(本体1,500円)

この本に寄せられた“ 読者の声 ”です。

★2024.03.12   苦しい。しんどい。徹頭徹尾、少女の肉体感覚に寄り添った緻密な文体と、そこから紡がれる暴力と混沌の物語に、辛くなる。読んだぶんだけ、文がこころを削っていく。自分の尊厳を覆うやわらかな膜が、剝がしとられるような気分にさえなる。それでも、ページを捲る手は止まることをしらない。狭い車内に閉じ込められた家族と少女の物語のゆくすえを、この目で見届けたいという思いがほとばしる。少女が背負おうとしているあまりに重い光に、天からわきあがり血を巡る暴力の光に、何度も目を眩ませてたどり着いたその先に、想像を絶する景色がある。穏やかな街並みの内側に張り詰めた哀しみが、ゆるくぬるくいつまでも続く地獄が、あたたかな春の光を浴びて、はるか道の先へ続いていく。父と娘を載せたくるまは、その霞んだ道の向こうへと走る。いったいどこまで行くのだろう。それが知りたくて、きっと私は宇佐見さんの著作をこれからも読み続ける。

もぐもぐ星人 さん 18歳 その他