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単行本

アートヒステリー

アート・ヒステリー

なんでもかんでもアートな国・ニッポン

大野 左紀子

単行本 46 ● 272ページ
ISBN:978-4-309-02133-1 ● Cコード:0095
発売日:2012.09.27

定価1,650円(本体1,500円)

×品切

  • 「これマジでアートだね!」……やたらと「アート」がもてはやされる時代=「一億総アーティスト」時代。アート礼賛を疑い、ひっくり返すべく、歴史・教育・ビジネスから「アート」を問う。

    「何なの? これ」「アート」
    「え、こんなことやっていいの?」「うん、だって、アートだから」

    「アート=普遍的に良いもの」ですか? そこから疑ってみませんか?
    『アーティスト症候群』から4年、「アート」の名の下にすべてが曖昧に受容される現在を、根底から見つめ、その欲望を洗い出す。

    【!!こんな人に読んでほしい!!】
    1:互いの作品を批判せずなんとなく褒め合っているガラスのハートの美大生。
    2:「個性と創造性が重要」と「図工って何の役に立つの?」の間で困っている先生たち。
    3:「アートは希望」「今こそアートの力が必要とされている」と訴えたい業界回りの人。
    4:「普通」を選んでいるにもかかわらず「ちょっと謎めきたい願望」を抱く社会人。

  • はじめに――アート島から漕ぎ出して
    第一章 アートがわからなくても当たり前
    (1)ピカソって本当にいいですか?
       「ピカソ的」なるもの/みんな大好き印象派/絵を愛で平和に癒される/占領された絵画

    (2)疎外される「わからない人」
       わからない人の気持ち/わからない人は言葉を求める/「なぜ、これがアートなの?」の限界

    (3)アートの受容格差
       知と欲望のヒエラルキー/「他者の欲望」の結晶化/ブルジョア、インテリ、大衆/芸術資本格差

    (4)「美術」はどこから来たのか
       芸術の恩恵とは/西欧絵画と日本的空間/インストールされた美術

    第二章 図工の時間は楽しかったですか
    (1)芸術という「糸巻き」
       母なるものとの分離と傷/「自然の本性」主義の美術教育

    (2)日本の美術教育
       実用主義のお手本教育――明治期
       自由画運動と子ども文化――大正期から昭和戦前
       活発化する民間の運動――終戦から七〇年代まで
       心情・感性主義の隘路――八〇年代から平成へ

    (3)夢見る大人と現実的な子ども
       図工って何の役に立つの?/どうして絵の描き方を教えてくれなかったの?/教師の負担と親の願望

    (4)問い直される理想
       変質した「自由」と「個性」/承認を要求する若者たち/方法論主義vs創造主義/「去勢」を経て残るもの

    第三章 アートは底の抜けた器
    (1)液状化するアート
       インテリア・アートというジャンル――ヒロ・ヤマガタとラッセンその1
       最大多数の最大幸福――ヒロ・ヤマガタとラッセンその2
       バンクシーになりたかった男/アウトサイドはインサイドにある

    (2)空想と現実の距離
       「普通」からの反発/ナルシシズム市場の広がり/自意識のセーフティ・ネットと菊千代の闘い

    (3)村上隆の「父殺し」
       「セルフ・オリエンタリズム」アーティスト/闘争のゆくえ

    (4)アートの終わるところ
       「問題」を「問題」とするアート /太陽と「母」 /アートへの欲望/他者との出会いと出会い損ない

著者

大野 左紀子 (オオノ サキコ)

1959年、名古屋生まれ。東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。現在、名古屋芸術大学、トライデントデザイン専門学校非常勤講師。著書に『アーティスト症候群』『「女」が邪魔をする』などがある。

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