- 受賞
- 全国学校図書館協議会選定図書
単行本 46 ● 400ページ
ISBN:978-4-309-03114-9 ● Cコード:0095
発売日:2023.06.27
定価2,640円(本体2,400円)
○在庫あり
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80~90年代、少女小説を中心に活躍し、再評価の機運も高まる作家・氷室冴子。少女小説研究の第一人者が丹念な調査と取材から、その全貌に迫る。作家や編集者に追加取材を行い増補刊行!
少女小説の革新、「女性作家」としての活躍と葛藤、新たなジャンルへの挑戦――
80~90年代、エンタメ小説の最前線で戦い続けた、
いま、最も再評価すべき作家の全貌に迫る。
『クララ白書』『雑居時代』『なぎさボーイ』『なんて素敵にジャパネスク』などの少女小説、ジブリアニメにもなった青春小説『海がきこえる』、エッセイ『いっぱしの女』『冴子の母娘草』などで絶大な支持を得、今も人気女性作家たちがその影響を公言する作家・氷室冴子(1957-2008)。少女小説研究の第一人者が丹念な資料調査と取材から、その功績と志に迫る。
若木未生氏、桑原水菜氏や各社担当編集者のインタビューを増補。
未完の傑作『銀の海 金の大地』第二部についての証言も収録! -
はじめに
第1章 氷室冴子以前――文学と少女マンガの揺籃期
幼年期の少女マンガ体験
文学少女としての目覚め
藤女子大学進学と女子校文化との出会い
碓井小恵子時代の創作
「モギ店ハンジョー記」と「少女マンガの可能性」
第2章 作家デビューから『クララ白書』まで
『小説ジュニア』とジュニア小説の歴史
新人賞への応募と佳作受賞
デビュー作「さようならアルルカン」
『小説ジュニア』にみる氷室冴子最初期作品
『さようならアルルカン』と『白い少女たち』
実家からの独立
『クララ白書』──少女たちの解放区
『クララ白書』と少女マンガ
雑誌『宝島』の書評
第3章 マンガ原作の仕事と初連載『雑居時代』
演劇を少女マンガのモチーフに
『ライジング!』の連載
宝塚への移住とファン活動
バウホールを描くこと
藤田和子との共同作業
『小説ジュニア』の初連載『雑居時代』
『雑居時代』人気と倉橋数子というキャラクター
第4章 一九八三年・八四年にみる多様な作品群
『恋する女たち』──ガールズトークのリアリティ
『ざ・ちぇんじ!』──少女小説としての「改変」
『シンデレラ迷宮』──少女の目覚めと心の王国
『蕨ヶ丘物語』──ローカルコメディの世界
『少女小説家は死なない!』──パロディにしのばせた少女小説の多様性
『古事記』への関心と『ヤマトタケル』
第5章 『なんて素敵にジャパネスク』と少女小説ブーム
結婚をめぐる対立から生まれた『なんて素敵にジャパネスク』
『なんて素敵にジャパネスク』シリーズの構成
初夜から東宮廃位問題へ
氷室冴子人気と『ジャパネスク』受容
少女小説ブームと氷室冴子
同時代における氷室冴子評価
少女小説マーケットの拡大
第6章 男の子の行方――氷室冴子の少年主人公小説
『なぎさボーイ』シリーズと複数視点の描写
クリエイターにみる氷室冴子作品の影響
『北里マドンナ』──「少女」から離れて
氷室冴子の仕事道具
『冬のディーン 夏のナタリー』──プレ『海がきこえる』としての模索
第7章 少女小説から離れて――エッセイと一般小説の仕事
氷室冴子、東京へ
エッセイと一般小説の連載状況
氷室冴子の一般小説
氷室冴子と直木賞
『ターン──三番目に好き』──大人の恋愛小説への挑戦
『いもうと物語』──幼年期の祝福
初エッセイ集『冴子の東京物語』
『プレイバックへようこそ』──過去への視線と世代の相対化
出版業界のなかの「女」──氷室冴子とフェミニズム
『いっぱしの女』──「女」にまつわるエッセイ集
『冴子の母娘草』──母と娘の闘い
家庭小説の復刊──「角川文庫マイディアストーリー」とブックエッセイ
『ホンの幸せ』──書物へのまなざし
第8章 イメージから生まれた物語――『海がきこえる』
高知との出会い
『海がきこえる』のストーリー
情景の見える文体へ
『海がきこえる』と挿絵の世界
『海がきこえる』のヴァリアント
『アニメージュ』連載版『海がきこえる』
『涼宮ハルヒ』シリーズのなかの『海がきこえる』
アニメーション版『海がきこえる』
続編『海がきこえるⅡ──アイがあるから』
第9章 古代への情熱――『銀の海 金の大地』
九〇年代とファンタジーの潮流
『銀の海 金の大地』連載まで
『銀の海 金の大地』の世界
挿絵と古代の文化
『銀の海 金の大地』にみる古代の風俗描写
少女小説の限界へ──『銀金』にみるヴァイオレンス描写
まぼろしの「佐保彦の章」
第10章 氷室冴子は終わらない――九〇年代後半以降から
旧作のアップデート
『クララ白書』のリメイク
新装版『なんて素敵にジャパネスク』
大人の恋愛小説執筆をめぐる模索
休筆期のこと──氷室冴子の二〇〇〇年代
コバルトという場所
作家としての再始動──「月の輝く夜に」の加筆をめぐって
闘病期
氷室冴子の死とメディア報道
氷室冴子受容の「断絶」
継承へ向けて
氷室冴子作品復刊の動向
作家・氷室冴子像とその先の可能性──古典への志
物書きとしての苦悩
氷室冴子を未来へ繫ぐ
おわりに 心に金の砂をもつ――氷室冴子と私
附録 氷室冴子 「少女マンガの可能性」
氷室冴子略年譜
著者
嵯峨 景子 (サガ ケイコ)
ライター・書評家。1979年生れ。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。著書『コバルト文庫で辿る少女小説変遷史』『少女小説を知るための100冊』共著『大人だって読みたい! 少女小説ガイド』。
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