- 受賞
- 朝日 産経
単行本 46 ● 272ページ
ISBN:978-4-309-23124-2 ● Cコード:0010
発売日:2023.02.22
定価2,475円(本体2,250円)
○在庫あり
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「役立たず」は「役に立つ」。自分を磨きたければ、無用の「知」に挑め。世界32カ国22言語で翻訳出版されたベストセラー。実用主義・効率主義がまかり通る現代への痛烈な批判。
無益さにこそ価値がある!
役に立たない文学や芸術を愛せる人間になるために!
グローバル経済、利益中心、効率優先……大切なものはどこへ行った?
錚々たる古の文人・思想家の言葉をたどり、生きる意志を再発見する。
世界32カ国で刊行された大ベストセラー!
——過去の記憶、人文科学、古典語、教育、自由な研究、想像力、芸術、批判的思考など、人間のあらゆる活動を後押ししてきた文明の息吹が、徐々に根絶やしにされようとしている。
――食事や呼吸を必要とするのと同じように、わたしたちは「無駄(役に立たないこと)」を必要としている。
――真に美しいものは、なんの役にも立たないものだけである。役に立つものはすべて醜い。
……わたしは余計なものを必要とする人間だ。 -
はじめに
第1部 文学は〈役立たず〉だが〈役に立つ〉
1章 もたざる者は、在るべからず
2章 利潤をもたらさない知は、役立たずである!
3章 「水ってなんだ?」――フォスター・ウォレスの小話
4章 ブエンディア大佐の金の魚
5章 ダンテとペトラルカ――文学を金のために使ってはならない
6章 ユートピア文学と黄金の便器
7章 ジム・ホーキンズ――財宝を探す探検家、それとも古銭研究者?
8章 ヴェニスの商人――1ポンドの肉、ベルモント、シレノスの解釈学
9章 アリストテレス――「知ること」に実用的な目的はない
10章 純粋な理論家か、哲人王か――プラトンの矛盾
11章 カント――美の判断は関心をともなわない
12章 オウィディウス――役立たずの技芸ほど役に立つものはない
13章 モンテーニュ――役に立たないものでさえ、役立たずではない
14章 「遊民」のレオパルディ――「傲慢で愚かな時代」の実利主義に抵抗する
15章 テオフィル・ゴーチエ――役に立つものは「便器のように」醜い
16章 ボードレール――役に立つ人間はみじめである
17章 詩を敵視するジョン・ロック
18章 ボッカッチョ――「パン」と詩
19章 ガルシア・ロルカ――詩の狂気を手放して生きるのは無謀である
20章 「役に立たないこと」と「無私」の英雄――ドン・キホーテの狂気
21章 コークタウンの「事実」――実利主義へのディケンズの批判
22章 ハイデガー――「役に立たないこと」を理解するのは難しい
23章 「役に立たないこと」と生の本質――荘子と岡倉天心
24章 ユージェーヌ・イヨネスコ――「役に立つこと」は無益な重荷である
25章 イタロ・カルヴィーノ――「無私」が本質を明らかにする
26章 エミール・シオランとソクラテスの笛
第2部 企業としての大学と、顧客としての学生
1章 国家の「撤退」
2章 学生は「お客さま」
3章 企業としての大学と、会社員としての教員
4章 ヴィクトル・ユゴー――経済危機のために文化予算を削るべからず
5章 トクヴィル――「手軽な美しさ」と商業民主主義の危険
6章 ゲルツェン――時間のない商人たち
7章 バタイユ――有用性の限界と、「余剰」が秘める生命力
8章 大学の「職業専門学校化」に抗して――ジョン・ヘンリー・ニューマン
9章 過去の言語はなんの役に立つのか?――ロックとグラムシ
10章 古典の計画的消滅
11章 古典との出会いが人生を変える
12章 脅威にさらされる図書館――ヴァールブルク研究所の危機
13章 歴史ある書店の退場
14章 役に立たないと思われていた科学が、思いがけず役に立つこともある
15章 「定理」からなにが得られるのか?――エウクレイデスとアルキメデス
16章 ポアンカレ――科学が「自然を研究する」のは「役に立つ」ためではない
17章 「知識とは、それを誰かに渡しても、自分が貧しくならない財産である」
第3部 所有することは殺すこと――人間の尊厳、愛、真理
1章 古典の声
2章 人間の尊厳――富の幻想と知の身売り
3章 所有するために愛することが、愛を殺す
4章 真理を所有することは、真理を殺すこと
著者
ヌッチョ・オルディネ (オルディネ,ヌッチョ)
1958年、イタリア生まれ。カラブリア大学文学部教授。専門はイタリア文学、文学理論、ルネサンスのジョルダーノ・ブルーノ研究の世界的権威。『ロバのカバラ:ジョルダーノ・ブルーノにおける文学と哲学』など。
栗原 俊秀 (クリハラ トシヒデ)
1983年生まれ。翻訳家。訳書に、ロヴェッリ『すごい物理学講義』、スクラーティ『小説ムッソリーニ:世紀の落とし子』など。須賀敦子翻訳賞、イタリア文化財文化活動省翻訳賞を受賞。
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