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単行本

ホウトハナニカ

法とは何か

法思想史入門

長谷部 恭男

単行本 46変形 ● 256ページ
ISBN:978-4-309-23159-4 ● Cコード:0032
発売日:2024.07.29

定価1,980円(本体1,800円)

○在庫あり

  • 人が生きていく上で、法はどのような働きをするか。先人の思想の系譜を読み解き、法と共により善く生きる道を問う、法思想史入門書。ロングセラーの新版。

    現代の日本の法律家の大部分は──おそらく世界の法律家の大部分も──カントやヘーゲル
    など読んだこともないし、そんなことを意識したこともないのではないでしょうか。それでも、
    過去の思想は意識されることもなく、現に生きている人々の思考を捉え、束縛しているもので
    す。カントやヘーゲルに捉えられているのはましな方で、訳の分からない三流思想家に操られ
    ていることも少なくありません。それと意識することもなく過去の思想に操られるよりは、自
    分がどのような立場を取っているか、それを明確に意識した上で、とるべき行動を判断する方
    が望ましいはずです。(「あとがき」より)

  • 【目次】
    はしがき
    序章 法はあなたにとってどういう存在か 
     Ⅰ 「飼い馴らす」ことで得られるかけがえのなさ
     Ⅱ 価値があるものは限られる
     Ⅲ あなたにとっての国の価値
     Ⅳ 本書の課題
     文献解題
    第1部 国家はどのように考えられてきたか 
     第1章 何のための国家か 
     Ⅰ 権威に従う理由
     Ⅱ 国家が権威を持つとき
     Ⅲ 国家の権威の限界と個人の選択の範囲
     Ⅳ 小結
     文献解題
     第2章 平和と自己防衛を目指す国家──トマス・ホッブズ
     Ⅰ 生の意味──モンテーニュからグロチウスへ
     Ⅱ 判断基準となる国家の設立
     Ⅲ ホッブズと宗教
     文献解題
     第3章 個人の権利を保障する国家──ジョン・ロック
     Ⅰ 自然状態における個人の自由
     Ⅱ 政治権力はいかにして樹立され、解消されるか
     Ⅲ 最終判断は神による裁き──抵抗権論
     Ⅳ ロック政治思想の限界と可能性
     文献解題
     第4章 自由を保全する国家──ジャン・ジャック・ルソー
     Ⅰ ルソーの問い
     Ⅱ 一般意思とは
     Ⅲ 大衆を導く世にも稀な「立法者」
     Ⅳ ホッブズを読むルソー
     文献解題
     第5章 永遠に完成しない国家──イマヌエル・カント
     Ⅰ 他者の敵対心からの保障
     Ⅱ 定言命法と道徳格率の多様さ
     Ⅲ お世辞は反道徳的か
     Ⅳ 「私の」社会の法秩序
     Ⅴ 人間性というねじ曲がった素材
     文献解題
     第6章 人々がともに生きるための立憲主義 
     Ⅰ 公と私の区分の必要性
     Ⅱ 基本的人権の保障と政教分離
     Ⅲ 正義の状況
     文献解題
    第2部 国家と法の結びつきは人々の判断にどう影響するか 
     第7章 法の規範性と強制力──ケルゼンとハート
     Ⅰ ザインとゾルレン
     Ⅱ 法予言説の問題点
     Ⅲ ケルゼンの「根本規範」
     Ⅳ ハートの「認定のルール」
     Ⅴ 法による強制をどう見るか
     文献解題
     第8章 法と道徳の関係──ハートとドゥオーキン
     Ⅰ 道徳をどうとらえるか
     Ⅱ 裁判官の良心
     Ⅲ 「正解」を求めて
     Ⅳ すべては解釈なのか
     文献解題
     第9章 法が法として機能する条件 
     Ⅰ 「法の支配」
     Ⅱ 法と道徳の必然的関係?
     Ⅲ 「法の支配」の限界
     Ⅳ プラトンとアリストテレスの考えた法の限界
     文献解題
     第10章 法と国家──どちらが先か
     Ⅰ 憲法がないと国家もない
     Ⅱ 法人としての国家
     Ⅲ 憲法制定権力の存否
     Ⅳ 国民の代表とは
     Ⅴ 宮沢俊義の「国民代表の概念」
     Ⅵ ケルゼンの民主政観
     文献解題
    第3部 民主的に立法することがなぜよいのか
     第11章 なぜ多数決か 
     Ⅰ 人民による人民の支配
     Ⅱ 一人一人の意見の尊重
     Ⅲ 議会の選挙と人民投票
     Ⅳ 正解を求める手段としての多数決
     Ⅴ 多数決の過ちをどう防ぐか
     文献解題
     第12章 民主政の過去から学ぶ 
     Ⅰ 多数の判断はより善い判断である──アリストテレス
     Ⅱ 大衆に判断はできない──プラトン
     文献解題
    終章 法に従う義務はあるか 
     Ⅰ ソクラテスはなぜ死刑判決を受け入れたのか
     Ⅱ 「人は殺すな」はどのような法か
     Ⅲ 国家の能力を見極める
     Ⅳ 正しい政府を支えるための遵法
     文献解題
    補論 道徳がすべてなのか 
     Ⅰ 道徳の普遍性
     Ⅱ 定言命法の空虚さ
     Ⅲ 盗賊の人格と道徳の衝突
     Ⅳ 妻を救うべきか
     文献解題
    あとがき
    事項索引
    人名索引

著者

長谷部 恭男 (ハセベ ヤスオ)

1956年、広島県生まれ。東京大学法学部卒業。現在、早稲田大学法科大学院教授。専門は憲法学。著書に『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書)、『憲法とは何か』(岩波新書)、『憲法入門』(羽鳥書店)他。

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