読者の声
この本に寄せられた“ 読者の声 ”です。
★2024.08.17
画数の多い漢字に見慣れないルビがふられ、最初はとっつきにくかったのですが、式が進行し"太陽"が登場するあたりから、想像しても追いつかない絢爛たるイメージに圧倒されました。
登場人物たちが人間だと思って読んでいたのですが、「あれ?」と思わせることが小出しに現れ、どうやらホモサピエンスとは違う人たちなんだと、ゆっくり分かってきました。
特定の相手に固執するのは下等な生物のすること、と恋愛は否定され、痛みを和らげることも声を合わせて歌うことも否定された極端にストイックな世界だけど、工房・照子屋の仲間や何より家族の絆が強く、"煩悩蟹"や"太陽"とも有機的に結ばれたみんなつながっている世界。主人公たちが皆ひたむきで愛おしい。
読み終えて満足感に浸るとともに、この残酷だが生真面目で美しい世界に、また戻りたくなりました。
兵庫県 岡村美津子 さん 58歳 女性