「サカグチニ、ダカレテイル。」
- 受賞
- 日経 / 全国学校図書館協議会選定図書
単行本 46 ● 208ページ
ISBN:978-4-309-01986-4 ● Cコード:0093
発売日:2010.06.17
定価1,760円(本体1,600円)
×品切・重版未定
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学校には、日の当たらない場所がある。詩に惹かれる女子生徒と女性教師の、とり残された風景での交わり。どこにもまだない場所の、希望を微かに感じさせる明るさを描く長篇小説。
著者コメント
この本には、「詩」を媒介にしてつながりあう、中学生男女と教師が登場します。
詩を書きたいと切望しながら、詩が書けずにいる主人公のミナコは、かつてのわたし自身のようです。
詩を書くことばかりでなく、詩を探し、詩を求める、その行為がすでに詩なのだと、わたしはずっと思ってきました。しかしなぜ、詩を追い求めてきたのか、今も、追い続けているのか。自分でも不思議でなりません。詩それ自体は、何の助けにもならないのに。
「詩」と人間の関わりのほかに、もうひとつ、考えたかったのが、「場所」と人間の関わりです。
人間が人間らしく生きられる場所と、詩が生まれてくる場所は、重なりあうはず。そんな思いを、今持っています。
ラストに至って、意図したことではありませんでしたが、とある場所へ、光が差しこんできます。
一冊にまとめるまでに、たいへん苦しんだ作品ですが、最後に至って、静かなよろこびがわき上がってきました。わたしには珍しいことでした。
書きあげてよかったと、心から思いましたが、さらにこの一冊を、誰かに手渡したいと、そんなことまでを思ったのも、初めてのことでした。小池昌代
著者
小池 昌代 (コイケ マサヨ)
1959年東京生まれ。詩人・作家。詩集に『コルカタ』(萩原朔太郎賞)、『赤牛と質量』、短篇集に『タタド』(表題作で川端康成文学賞)、長篇に『たまもの』(泉鏡花賞)、『くたかけ』など。
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