河出文庫 ほ3-2

コトバノソトヘ

言葉の外へ

保坂 和志

河出文庫 文庫 ● 248ページ
ISBN:978-4-309-41189-7 ● Cコード:0195
発売日:2012.12.06

定価825円(本体750円)

×品切

  • 私たちの身体に刻印される保坂和志の思考――「何も形がなかった小説のために、何をイメージしてそれをどう始めればいいのかを考えていた」時期に生まれた、散文たち。圧巻の「文庫版まえがき」収録。

    「言葉がなければ伝えることができない」とか「言葉がなければ残すことができない」というのは、だいいち本当か。(「言葉の外へ――まえがき」より)

    保坂和志が「何も形がなかった小説のために、何をイメージしてそれをどう始めればいいのかを考えていた」時期に生まれた、煌めく至高の散文たち。この「世界」に立ち向かうために必要な「43の小説家の思考」が詰まった、必読の書。文庫版用に書き下ろされた、「言葉」についての最新論考は圧巻!!

  • 言葉の外へ――まえがき(←圧巻の書き下ろし論考! これだけでも読んでもらいたいです。/担当編集者)

    <1>
    知りたい欲求と知ることの意味/『ドン・キホーテ』と『楡家の人びと』/カフカ、カフカ的、カズオ・イシグロ/論理そのものが内包する「生」への敵意/厳密さゆえのダイナミズム/精神の臨界のその先にいる神/黙示録的人間が神の国の到来を願わず……/「記憶の外部化」と思考の衰退/感傷だらけでプロセスがない/フィクションであるがゆえのリアリティ/チェーホフは短篇小説家だった/芸術の理念の無限性/本来の世界は記述しえない力の場

    <2>
    論理を越えたもの/形勢判断って何?/寿命、運命、そして棋風/時間の端と端/レッドゾーンの維持/美意識の起源/羽生、妄想、コンピュータ/心の潮位/現実世界と可能性の世界/超えられない“音”/実現しなかった手/コンピュータと人間

    <3>
    思索することと実作(実践)することの差/読書という精神の駆動/一種の“「『技の記憶』人間論」試論”/文学のプログラム

    <4>
    小島信夫『うるわしき日々』を読む

    <5>
    想像力の磨耗/所感/「不確かさ」という「リアリティ」/『もうひとつの季節』の季節/ベイスターズと猫が好きなので……/ずいぶん成長したもんだ/ひたすら考えるということ  179/科学による世界像と肉体との連絡/壊れた脳と夢のリアリティ/『小説修業』って、どういう本ですか?/〈家〉の記憶をめぐって

    あとがき

著者

保坂 和志 (ホサカ カズシ)

1956年、山梨県生まれ。著書に『草の上の朝食』(野間文芸新人賞)、『この人の閾』(芥川賞)、『季節の記憶』(平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞)、『未明の闘争』(野間文芸賞)、『ハレルヤ』など。

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