読者の声
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この本に寄せられた“ 読者の声 ”です。
★2026.01.23
持たざる者たち。他の誰でもない私であり、あなたであり、誰かの物語。
折り重なる言葉は例えるなら水底の砂を巻き上げないように掬いだした何かだ。泥の中に埋もれてかき消され、すり減ってもなお煌めきを残す、かつては透明で鋭く尖っていたガラスの破片のようなもの。全編を通して描かれる漠とした不安、でもそれは煙のように掴めずに散っていくものではない。もっと硬く細かい粒のようなもので、何でもない日常のいたるところに散りばめられている。緻密に描き込まれた細部のディテールがソリッドなリアリティを生み、不安の輪郭を刻みつける。そして一つの問いを生じさせる。「あなたなら何ができた?」と。当事者として、あるいは隣に立つ者として。本から与えられる問いではなく、体の内部から生じる問いかけ。しかしこの本は決して答えをくれない。問いに向き合う時間だけを与えてくれる。
東京都 かず坊 さん 45歳 男性
