単行本

ジルドゥルーズコウギロクカイガニツイテ

ジル・ドゥルーズ講義録 絵画について

ジル・ドゥルーズ

ダヴィッド・ラプジャード

宇野 邦一

単行本 46 ● 448ページ
ISBN:978-4-309-22979-9 ● Cコード:0010
発売日:2025.11.19

定価4,180円(本体3,800円)

○在庫あり

  • ドゥルーズの講義録、ついに刊行開始。「絵画」とは、「描く」とは何か。セザンヌ、ゴッホ、ベーコンらは何を試みたのか。芸術と感覚の哲学を更新する声の記録。詳細かつ豊富な注解つき。

    【シリーズ「ジル・ドゥルーズ講義録」、ついに始動】
    ドゥルーズの愛弟子による巧みな編集
    その場で聴いているかのような、語りの忠実な再現
    著書との関連や、議論の背景などがわかる精緻な注釈
    第一線の研究者による翻訳・解題

    【現代思想の巨星が切りひらいた、比類なき「芸術論」!】
    20世紀を代表する哲学者ジル・ドゥルーズ。彼は唯一の絵画論である『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』を刊行した同年に、講義で集中的に絵画について論じていた。
    セザンヌ、ファン・ゴッホ、ミケランジェロ、ターナー、クレー、ポロック、モンドリアン、ベーコン、ドラクロワ、ゴーギャン、カラヴァッジョ……彼らはいったい何と格闘してきたのか?
    数多くの画家の仕事を、美術史家リーグルやヴェルフリン、ヴォリンガーらによる研究を参照しつつ解読し、「ダイアグラム」「コード」「デジタル/アナログ」「変調」といった哲学的概念を提示する。
    著作に連なる重要な指摘がなされる一方で、より闊達に、また詳細に展開される議論。芸術と哲学をめぐる理解を一新する声の記録がついに公刊される。
    サン=ドニ(パリ第8大学)にて、1981年3月から6月まで全8回にわたって行われた講義に、詳細な注釈を加えて収録。

    [原題]Sur la peinture: Cours mars-juin 1981


    ●目次

    序文

    ジル・ドゥルーズの著書の略称と使用された版のリスト

    一九八一年三月三十一日講義
    絵画におけるカタストロフ、ターナーからセザンヌへ/セザンヌの解読/セザンヌの二つの契機:カオスとの衝突という絵画以前の条件そしてカタストロフとしての描く行為/時間の総合としての絵/クレーの解読/クレーにおける灰色の点の二つの契機:灰色-カオスの点そして諸次元の灰色-母体の点/ベーコンにおける紋切り型との闘い、そしてダイアグラムの概念/ファン・ゴッホのダイアグラム

    一九八一年四月七日講義
    前の講義の復習/白いページという主題の愚かさ/ジェラール・フロマンジェの方法/ミケランジェロ:具象に対する図像/諸力を描くこと:すなわちベーコンにおける睡眠の圧延力/叫びと嘔吐:汚辱とコンラッドの『ナーシサス号の黒人』/ベーコンの《絵画》(一九四六年)の分析:鳥と傘/二種類のアナロジー:共通のアナロジー(相似の移転)そして美学的アナロジー(相似の断絶)

    一九八一年四月二十八日講義
    ダイアグラムの五つの特性/(1)カオス-発芽/(2)手動的特性/眼から解き放たれた手/線-色彩という視覚的総体に対立する描線-染みの手動的総体としてのダイアグラム/(3)色彩に向かう染みと描線そして絵画的線、第三の眼/(4)相似なきイメージを産出すること/絵画的事実とマニエリスム/(5)穏健な道/ダイアグラムのもろもろの危険の要約/最大限のダイアグラムすなわちカオスの危険と抽象表現主義/最小限のダイアグラムすなわちコードの危険と抽象絵画、現代的生活のカオスと直面すること/穏健な道すなわちカオスの抑制としての図像的絵画

    一九八一年五月五日講義
    要約:ダイアグラムの三つの立場(表現主義の道、抽象の道、図像の道)、攪乱、コード、ダイアグラム/表現主義と手動的ダイアグラム(純粋な光学的空間に対して)/抽象絵画のコード/意味的統一性と二項的選択/手動的、触覚的、デジタル的/アナロジーとデジタル/デジタルコードと相同性/アナロジーと相似性/ベイトソンとイルカたち/アナロジーへのコードの接木/変調/ルソーの『言語起源論』の読解

    一九八一年五月十二日講義
    アナロジーの三つの形態の復習と再検討、すなわち(物理的)相同性によるアナロジー、(有機的)内的関係によるアナロジー、(美学的)変調によるアナロジー/アナロジックとデジタル/変調の概念とそのヴァリエーション、すなわち鋳型、モジュール、変調/もろもろの空間-信号/エジプト的空間(地、図像、輪郭)/立方体のエジプト的拒否

    一九八一年五月十九日講義
    ゲーテの色彩の(発生的)三角形と(構造的)色環図についての提案/色彩主義の短い歴史:ドラクロワと印象主義者たち/形、地そして輪郭/ゴーギャンの《美しきアンジェル》/触知的な眼あるいは第三の眼:現代絵画におけるエジプトの回帰/エジプト世界の死そして平面の分離/触覚-光学的ギリシア芸術

    一九八一年五月二十六日講義
    前の講義の短い復習、すなわちアナロジー、変調、空間-信号/ギリシア人と有機的線/ギリシアの彫像におけるリズムと内的鋳型/肉と色彩/二つの空間すなわち十六世紀と十七世紀(ヴェルフリン)/色彩を変調すること/ドラクロワ、印象主義者と後期印象主義者

    一九八一年六月二日講義
    色彩の諸体制、そしてその諸特性/測色計の三つの方法/絵画における色彩の諸体制すなわちルネサンスの体制/十七世紀の二つの体制、カラヴァッジョの体制、ルーベンスの体制/色環図の二重の経路/スーラとピサロ/セザンヌと色彩/ファン・ゴッホ、ゴーギャンそして中間色:色彩-構造と色彩-重さ

    訳者あとがき

    人名索引

著者

ジル・ドゥルーズ (ドゥルーズ,G)

1925年パリ生まれの哲学者。スピノザやニーチェの研究を通じ西欧哲学の伝統を継承しつつその批判者となる。主著にF・ガタリと共著『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』他。

ダヴィッド・ラプジャード (ラプジャード,ダヴィッド)

晩年のドゥルーズに学ぶ。『無人島』『狂人の二つの体制』の編者。ウイリアム・ジェイムスを研究。

宇野 邦一 (ウノ クニイチ)

1948年生まれ。哲学者・フランス文学者。立教大学名誉教授。著書に『土方巽──衰弱体の思想』『ドゥルーズ 流動の哲学』など。訳書に、アルトー『タラウマラ』、ジュネ『薔薇の奇跡』など。

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