現代アメリカ文学最前線の女性作家、待望の第二短編集!
- 受賞
- 朝日
単行本 46変形 ● 320ページ
ISBN:978-4-309-20696-7 ● Cコード:0097
発売日:2016.01.27
定価2,970円(本体2,700円)
○在庫あり
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幻想と現実の境界を飛躍する作家、カレン・ラッセル待望の第二短編集。吸血鬼の熟年夫婦の倦怠期が切ない表題作、蚕に変えられ工場で働く少女たちを描く「お国のための糸繰り」ほか全8編。
★萩尾望都氏、柴田元幸氏、絶賛!★
「ここにあるのは21世紀の孤独。
噛み付けば、味わえる。」————萩尾望都
「桁外れの博識と、驚異的な幻想力の、幸福な融合。」————柴田元幸
熟年吸血鬼夫婦の倦怠期、馬に転生した歴代大統領、
お国のために蚕に身体を変えられた女工たち……
あらゆるジャンルの境目を跳躍する作家カレン・ラッセルが
最高の想像力で描く全8編を、
小説家・松田青子が翻訳する、幸福なコラボレーション!
「カレン・ラッセルに強く惹かれるのは、
大胆不適でありながら、同時に世界に対してとても真摯だからだ。
小さな声を聞き逃さないからだ。」 ————松田青子 -
【目次】
「レモン畑の吸血鬼」
長すぎる余生を過ごす熟年吸血鬼夫婦。
夫が人間を襲い、闇に紛れてモンスターらしく生きていた日々は遠い昔、
いまはイタリアの太陽の下、血の代わりにレモンを啜ってしのいでいる。
そんな夫の姿に、妻が突然別居を言い出して……。
「お国のための糸繰り」
舞台は明治時代の日本。
製糸工場の女工として娘たちが集められるも、身体を蚕に変えられてしまう。
体内で育った糸を機械に巻き取られる〈蚕女工〉として働くうち、女工のひとりがあることに気づく。
「一九七九年、カモメ軍団、ストロング・ビーチを襲う」
母親が失業、進学の夢はついえ、片思いの相手がよりによって自分の兄と付き合いはじめて、どん底のナル。
ある日、町を飛び回る不気味なカモメたちが、信じられないモノを盗んで隠している巣を見つける。
「証明」
西部開拓時代、未開の土地ネブラスカに引っ越してきた一家。
たどり着いて5年経ったいまも、パパは土地の証明を授けてくれる監査官を待ちわびている。
ある日ついに、監査官がやって来るという噂が流れる。
「任期終わりの廏」
なぜか歴代のアメリカ大統領たちが馬に転生して、廏に大集合。
姿は馬ながら、虚栄心丸出しで選挙遊説にいそしむ大統領たち。
19代目ラザフォードは、ここからなんとか逃げ出そうと画策するも……。
「ダグバート・シャックルトンの南極観戦注意事項」
南極開催「食物連鎖対戦(クジラ対オキアミ!)」観戦における、オキアミチームメンバー注意事項。
ルールは11、希望は捨てるな!
おっと、ちょい待ち、もしあんたがクジラチームのサポーターなら、さっさと消え失せろ!
「帰還兵」
ベテランの女性マッサージ師のもとに、まだ若いイラクからの帰還兵がやってくる。
彼の背中には、陰惨で悲しい思い出のタトゥーが彫られていた。
彼女は自分の手で、彼の苦しみを取り除こうと決意するが。
「エリック・ミューティスの墓なし人形」
不良4人組が、いつもの遊び場で木からぶらさがる「かかし」を見つけた。
その顔は、自分たちが去年いつもいじめて、いつの間にか姿を消したエリックそっくりだった……。
著者
カレン・ラッセル (ラッセル,カレン)
1981年フロリダ州生。23歳で〈ニューヨーカー〉にてデビュー。独自の世界観が絶賛される。初短篇集『狼少女たちの聖ルーシー寮』で米図書協会の注目作家に選ばれる。他に『レモン畑の吸血鬼』など。
松田 青子 (マツダ アオコ)
1979年兵庫県生まれ。作家・翻訳家。2013年『スタッキング可能』でデビュー。21年『おばちゃんたちのいるところ』で世界幻想文学大賞・短編集部門を受賞。近著に、エッセイ『自分で名付ける』。
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