単行本 46 ● 232ページ
ISBN:978-4-309-02507-0 ● Cコード:0093
発売日:2016.10.19
定価1,540円(本体1,400円)
×品切・重版未定
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焼夷弾が降る戦時下、喧騒に呑まれる八十年代、そして黄昏ゆく〈いま〉――それぞれの時代で、手探りで生きる人々の「生」に、寄り添うように描かれた八つの物語。
無様に。
だけど、私は
まだ生きているのだ。
三年前のよく晴れた冬の日、五日市線の終着駅から父が入居予定の施設に向かったわたし。厳格な祖母が取り仕切る古い商家で、家業が傾いてもなおひっそりと生きた、かつての父のすがた。そしていま、自分の人生を選び取ることですれ違っていく夫との関係――わたしにとって、生きるということは、二人の男を棄てることなのだった……(「父を山に棄てにいく」)
*
【収録作品】
父を山に棄てにいく/インフルエンザの左岸から/猫降る曇天/すみなれたからだで/バイタルサイン/銀紙色のアンタレス/朧月夜のスーヴェニア/猫と春
著者
窪 美澄 (クボ ミスミ)
1965年東京生まれ。「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学大賞を受賞しデビュー。『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞、『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞、『トリニティ』で織田作之助賞受賞。
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