単行本 46 ● 224ページ
ISBN:978-4-309-03933-6 ● Cコード:0095
発売日:2024.12.02
定価2,200円(本体2,000円)
○在庫あり
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アスファルトの世界を離れ、わたしは秩父へ移り住むことにした――庭と植物、自然と文学が絡み合う土地で、真摯に生きるための「ことば」を探す。練達の仏文学者による清冽なエッセイ集。
* * *
秩父の自然を綴るなかに、深い霧のような知の涼気が渡る。清しく果敢な精神のかたち。
――小池昌代
風や水のゆらめきを気配で感じとる耳には、歴史の奥に消された声さえ聞こえる。
――くぼたのぞみ
* * *
・窓から風に乗って流れ込んだ常山木の、爽やかで甘い濃厚な匂いに導かれて(「常山木」)。
・生命の表と裏を引き受ける誠実さの方へ(「巣箱の内外」)。
・経済活動からはこぼれ落ちる、豊かな交換の倫理(「ふきのとう」)。
・外来種という呼称がはらむ排外主義の芽と、植物がみせる「明日の風景」(「葛を探す」)。
・宮沢賢治が見上げた秩父の空(「野ばら、川岸、青空」)。
・鮮やかで深い青紫の花と、家の記憶について(「サルビア・ガラニチカ」)。
・切り捨てられた人間と動物がともにある世界へ(「車輪の下」)。
・都市優位の世界観を解きほぐす作家たち(「田園へ」)。
・見知らぬ女性からの言葉が届く場所で、わたしは届くはずのない文章を待っている(「消される声」)。
・空の無限、星の振動、微かに吹く風は、わたしたちに語りかける(「風の音」)。
……ほか珠玉のエッセイ、三十篇
【書評・メディア情報】
読売新聞(2024年12月15日)/著者インタビュー
図書新聞(2024年12月21日)/「24年下半期読書アンケート」(小池昌代氏・詩人、小説家、翻訳者)
図書新聞(2024年12月21日)/「24年下半期読書アンケート」(くぼたのぞみ氏・翻訳家、詩人)
西日本新聞(2025年1月4日)/カリスマ書店員の激オシ本(田尻久子氏・橙書店、オレンジ店主)
日本経済新聞(2025年1月9日)/書評(陣野俊史氏・文芸評論家、フランス文学者)
著者
笠間 直穂子 (カサマ ナオコ)
1972年宮崎県生まれ。国学院大学文学部教授。翻訳者。著者に『鳥たちのフランス文学』ほか、訳書にM・ンディアイ『心ふさがれて』(第15回日仏翻訳文学賞)、G・クレマン『第三風景宣言』ほか。
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