- 受賞
- 読売、日経、毎日、産経
単行本 46 ● 248ページ
ISBN:978-4-309-02397-7 ● Cコード:0093
発売日:2015.09.14
定価1,650円(本体1,500円)
×品切・重版未定
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それは、希望という名の恐怖――寂れゆく松保商店街に現れた若きリーダー図領。実行力ある彼の言葉に人々は熱狂し、街は活気を帯びる。希望に満ちた未来に誰もが喜ばずにはいられなかったが……。
著者
星野 智幸 (ホシノ トモユキ)
1965年ロサンゼルス生まれ。97年「最後の吐息」で文藝賞を受賞。2011年『俺俺』で大江健三郎賞、15年『夜は終わらない』で読売文学賞、18年『焔』で谷崎潤一郎賞を受賞。その他の著書に『呪文』など。
読者の声
舞台はさびれゆく東京近郊の商店街。そこに街の活性化を引っ提げて一人の若きリーダーが現れる。商店への融資制度、クレーマーの撃退、さらには自警団の組織化と、彼の打つ手はことごとく成功する。町は徐々に活気を取り戻していく。一方従わないものへは狂気の仕打ちが待ち受けている。当初は懐疑的な目で見ていた街人、反対していた街人も、リーダーとその取り巻きが力を増すごとに懐柔され、はたまた仕打ちを恐れいつの間にか声すら挙げられなくなる。そして『良識派』の最後の抵抗。それさえもそのリーダーと同じ狂気の手法へと進んでいく。
ありきたりの表現ですが「現代社会を鋭く切り裂いた」小説です。さすが年間書評欄で、何人もが取り上げた作品です。読み応え十分。
(司元 さん/56歳 男性)
「3.11」以降に書かれた作品では「ボラード病」と並ぶ傑作だ。商店街の再生を唱える図領は地方創生を叫ぶA首相を直ちに想起させ、初期ナチスの実働部隊だった突撃隊と相似形の未来系はA政権を支える、いわゆる「B層」の内実そのものだろう。現代日本のファシズムと全体主義の寓話として多くの人に読んでほしいと思った。 (福岡太郎 さん/60歳 男性)
二極化とネット社会化が進む現実社会が一つの街に集約された。振りかざされた正義は排外主義を招き、似非武士道たる「クズ道」に陥る敗者の暴走は止まらなくなる。
ネトウヨとネトウヨから飛び出した「保守系市民運動をすぐ想起する。まるで日本社会の近未来を描いたようでそら恐ろしくなった。
(林浩治 さん/59歳 男性)
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