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第4回 熊本/長崎書店

熊本に長崎書店という老舗の書店がある。近年様々な企画で話題になることも
多い書店なので、熊本界隈ご在住の方はご存知の向きも多いかもしれない。

私が以前営業で九州地区を担当をしていた頃、そちらの社長(店長兼務)の長
崎健一さんには大変お世話になった。年が近い先輩ということもあり、なんと
なく気安くて、伺うたびに食事などご一緒させていただいて、長崎書店の今の
こと、熊本の街のこと、商店街の現在など、タメにも刺激にもなる話をたくさ
ん伺ってきた。

長崎書店は、創業1889年(長い社史においては西南戦争の戦火に罹ったり、熊
本大洪水にみまわれたり...参照:長崎書店社史 )。
長崎健一さんは四代目社主ということで、2009年に社長に就任されている。

そう聞くと、なんともいかめしい重厚な様子の書店が連想されそうだが、実際
の長崎書店は小ぶりで、いかにも使い勝手と居心地が良さそうで、適度に洗練
された雰囲気の街の書店である。店内をそぞろ歩くと、各コーナーでは折々の
ちょっとしたフェアや、担当店員さんからのオススメ本や、児童書コーナーの
洒落たディスプレイなど、そこかしこに楽しい(本好きを捕える危険な)ワナ
が仕掛けてあって、ついつい立ち止まってしまう。落ち着いているのに、賑や
かである。空間がさざめきに満ちている。

熊本界隈で活躍する作家、アーティスト、著名人ら本好きが選ぶ文庫100冊フ
ェア「La! Bunko」など、地域を巻き込んだ取り組みで文化発信の静かな中心
地ともなっているようで、全国的にもそのような目立ったアクションを起こし
ている書店はそう多くなく、出版社の者としても長崎書店の動向から目が離せ
ない。(そんな長崎書店も一日にして成ったわけではなく、長崎さんが店を継
ぎ、大リニューアルを行うにあたって参考にし、教えを乞うたのは、福岡の粋
な書店・ブックスキューブリックの大井社長であったとか、書店を巡る物語は
連綿とつづく...)

いま長崎さんは、商店街の同世代経営者の方たち(ほとんど皆幼なじみだとか)
とともに、商店街全体として接客の価値観を共有し、ひとつのブランドを作り
上げていく、というプロジェクトを推進されているそうで
こちらにお写真も。かっこいいな~)、
これまた現代的かつ革新的な取り組みだと思う。

(ファンなので)長崎さんのことばかり述べてしまったが、長崎書店を訪れる
人が今日も安らぎと知的興奮を同時に享受できるのは、スタッフの方々の弛ま
ざる創意工夫と真心ある接客の賜物であることは言うまでもない。

熊本界隈にお住まいの幸福な方々は今日も新しい出会いを求めて訪店していた
だき、遠方ですぐにそれが叶わない方はご旅行の際、ぜひ旅程に加えていただ
けたらと思う。きっと旅の素敵なアクセントになる。

(営業部・小尾友宏)

◎長崎書店
熊本県熊本市中央区上通町6-23 長崎書店ビル 1F
電話:096-353-0555
http://nagasakishoten.otemo-yan.net/

(初出:『かわくらメルマガ』vol.48  2014/6/10)