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2013年10月の記事一覧

発売前から大注目されていた書籍、千葉雅也さんの『動きすぎてはいけない』
がついに発売となりました。

◎『動きすぎてはいけない~ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』●2625円
つながりすぎ、動きすぎで〈接続過剰〉になった世界で「切断の哲学」を思考
する画期的ドゥルーズ論――浅田彰、東浩紀両氏が絶賛する思想界の超新星、
衝撃のデビュー!
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309246352/

なんと、浅田彰さんと東浩紀さんがW推薦!

「ドゥルーズ哲学の正しい解説? そんなことは退屈な優等生どもに任せてお
け。ドゥルーズ哲学を変奏し、自らもそれに従って変身しつつ、「その場にい
るままでも速くある」ための、これは素敵にワイルドな導きの書だ」---浅田彰

「超越論的でも経験的でもなく、父でもなく母でもない「中途半端」な哲学。
本書は『存在論的、郵便的』の、15年後に産まれた存在論的継承者だ」---東
浩紀

発売に併せて、かわくらメルマガに千葉さんから本書にコメントをいただきま
した。

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 動きすぎてはいけない。動くというのは、同じひとつの持ち場に留まるので
はなく、他所へ、他者の方へ向かい、自分を他者に関係づける=接続すること
を意味しています。したがって、動きすぎないというのは、自分を他者に関係
づけすぎないということです。が、動かないのではない。他所へ、他者へ関心
を向けるのをやめて「ひきこもり」に徹しようというのではありません。動か
ないのではない、「すぎない」くらいに動くのです。関係=接続を過剰化はし
ない。それは、世界のすべてにつながろうとしないことであり、また、そもそ
も世界のすべては(潜在的に)つながっているという世界観を放棄することに
なるでしょう。諸々の関係が、あちこちで「ある程度は」切断される。本書で
は、ドゥルーズ、およびドゥルーズ&ガタリの哲学の核心は、関係の「接続と
切断」のあいだの「と」、そこで作動する「~しすぎない」というレトリック
である、という仮説を携えて、彼(ら)の哲学を初期から晩年まで旅します。
 一方の極には、世界のすべてが関係している=接続されている「かのよう
に」語るドゥルーズがいる(接続的ドゥルーズ)。他方の極には、世界をバラ
バラに断片化してしまう文脈も見いだされる(切断的ドゥルーズ)。こうした
両極のあいだで、「動きすぎてはいけない=関係しすぎてはいけない」という
曖昧な主張がなされるのです。では、関係「しすぎない」というレトリック
(程度の問題)は、ドゥルーズの哲学システムのなかにおいて、どのような位
置をもっているのでしょうか?
 ドゥルーズは或るインタビューで、「生成変化を乱したくなければ、動きす
ぎてはいけない」と述べました。本書は、古代中国の箴言のようなこのフレー
ズに対するひとつの解釈です。生成変化する(becoming, devenir:~にな
る)こと、変身すること。そして、関係しすぎないということ。あれこれに関
係しすぎないからこそ、生成変化を、変身を、ラディカルに達成できる......こ
れは、どういうことなのでしょうか?

千葉雅也
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答えはきっと本書に...!

◎刊行記念イベントがあります。ぜひぜひ。
千葉雅也さん&國分功一郎さんトークイベント
『動きすぎてはいけない』(河出書房新社)刊行記念
日時:2013年11月8日(金)午後7時~
会場:西武池袋本店別館9階 池袋コミュニティ・カレッジ28番教室
参加チケット:1000円(税込)
チケット販売場所:西武池袋本店書籍館地下1階リブロリファレンスカウンタ
お問合せ:リブロ池袋本店 03-5949-2910
http://www.kawade.co.jp/news/2013/10/118-1.html

◎同じくリブロ池袋本店のカルトグラフィアでは、千葉さん選書によるフェア
「切断と接続のスタイル」を開催中です。選書リストも配布中とのこと。
お近くにお立ち寄りの際はぜひ。

◎現在注文殺到につき小社では品切中です。
お近くの書店にてぜひお手にとってみてください。

(初出:『かわくらメルマガ』vol.28 千葉雅也が語る『動きすぎてはいけない』とは?)
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◎「14歳から読める戦後日本史入門を、こう書いた」
成田龍一
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劇作家で小説家の井上ひさしさんに、「むずかしいことをやさしく」というこ
とばがあります。井上さんは、つづけて「やさしいことをふかく、ふかいこと
をおもしろく」といいます。井上作品は、小説でも戯曲でも筋が入り組み、ど
んでん返しが多くとても複雑なのですが、主題をとてもわかりやすく訴えかけ
てきます。複雑であっても、わかりやすくおもしろい――その秘密は、作者の
この姿勢にあります。「むずかしいことをやさしく」述べることからはじま
り、「おもしろく」伝えていく工夫のたまものです。

じつは、歴史もとても複雑です。とくに戦後日本史は、あれこれの要素が絡み
合い、とてもかんたんには説明できないことがほとんどです。しばしば、歴史
家は、正確さと精密さを尊重して、複雑なことを複雑なままに記します。
しかし、厳密さを追求するあまり、込み入った説明をすることは、歴史の描き
方としては素朴に過ぎるように思います。ことがらを複雑に説明する歴史家が
多いため、逆に断定調に単純化して言い切る歴史がはやってしまうのですね。
もちろん、私は、歴史を単純化せよといっているのではありません。私は、複
雑な戦後日本史を、単純化するのではないやり方で、複雑さを伝えるやり方を
求めてきました。

そうした試みのひとつとして、14歳の人びとから読めることをねらいとした
本をつくってみました。若いひとを読者対象に加える、ということは、結果的
に、年長者にもよりわかりやすく伝わるということとなるであろう、とも思い
ます。
読者対象の拡大は、たんに表現レベルの問題ではなく、問いの立て方やことが
らの提出のしかたなど、戦後日本史の認識そのものにかかわってきます。「む
ずかしいこと」というのは、しばしば本質的なことですが、そのことがなぜ本
質的なことであるのかを、ていねいに解きほぐす営みが求められることになり
ます。その課題に、今回は挑戦してみました。
同時に、この営みは、いまひとつの結果として、戦後日本史を体験から離陸さ
せて、歴史として描くという試みともなりました。自らの世代の経験を、いか
に歴史のなかに位置づけていくかということです。自明としていたこと、あた
りまえのように考えていたことを、あらためて説明しなおす営みであり、私に
とっては、大きな挑戦となりました。

こうして、読者対象を14歳から、と広げることは「むずかしいことをやさし
く」語ることの実践にほかなりません。さまざまに、いままでの私の歴史認識
と歴史の描き方を再検討する機会となりました。

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戦後の歩みをわかりやすくたどりながら、しかしそれだけでなく、常に「歴史
とは何か?」という本質的な問いを読者と考えていく、はじめての歴史入門と
しても、大人の学び直しの友としても絶好の一冊に仕上がっています。ぜひ手
にとってみてください。

【著者プロフィール】
成田龍一(なりた・りゅういち)
1951年、大阪市生まれ。日本女子大学人間社会学部教授(近現代日本史)。
『近現代日本史と歴史学』『「戦争経験」の戦後史』『大正デモクラシー』
『〈歴史〉はいかに語られるか』など。

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(14歳の世渡り術)●1260円
占領、55年体制、高度経済成長、バブル、沖縄や在日コリアンから見た戦
後、そして今――これだけは知っておきたい重要ポイントを熱血レクチャー。
これからを生きる人のための新しい歴史入門。
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◎KAWADE道の手帖『作家と戦争』の巻頭では、成田さんと川村湊さんとの
対談「3・11からアジア太平洋戦争を照射する」が収録されています
こちらもぜひ。

「14歳の世渡り術」ブログ更新中! 黙々と編集部員が更新してますよ。


◎死について、何を学び、これから先をどう生きるのか――。
シリーズ最新刊『特別授業 "死"について話そう』も好評発売中です。


(初出:『かわくらメルマガ』vol.26 成田龍一さん特別寄稿 「14歳から読める戦後日本史入門を、こう書いた」)

今回より、営業部から河出クラブの皆さんに全国の書店さんをご紹介するというコーナーを始めます。

第一回目の今回は河出クラブにご加入いただいている方で、名古屋方面にお住
まいの方ならきっとご存じのお店、"ちくさ正文館本店"。

大きな道2本にはさまれたこちらのお店、それぞれの大通りに面して2つの入
り口があります。
一方の入り口から入ると、雑誌やビジネス書などが置かれた一見して普通の町の本屋さん。
もう一方の入り口から入ると思わず深呼吸したくなるような、しんとした、けれども静かな熱気に満ち満ちた空間が広がります。絶対に手が届かないであろうところまで、みっしり詰められた本・本・本。名古屋界隈で文学・人文・芸術好きを自認する方ならおそらく知らない方はいないであろう名店です。

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名店たる所以はその圧倒的な品揃えと、何をおいてもこのお店をこのお店たらしめている名物店長の古田さん。
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本屋さんは、本を売るだけの場所じゃない、本来町の情報発信地であるべきとは、古田さんの言葉ですがその言葉どおり、店内中に今後刊行される注目新刊のチラシ、公開間近の映画のポスター、演劇、ライブの情報が所狭しと張ってあり、それを眺めているだけでもどんどん時間がたってしまいます。


そして今回私のお邪魔した日は、店内で名古屋造形大学の学生さんが授業で作成したという豆本の展示が行われており、その様子を作成者の学生さんと大学の先生を呼んでお店からCBCラジオが生中継で放送という日。夕方の放送に向け、店の脇ではラジオ局の方がせっせとアンテナを設営しておりました。
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まさに、本を買う場だけではない、町の発信基地!近所にあったら三日に一回は行ってしまうのだろうなというお店です。名古屋界隈にお住みの方、名古屋観光で時間がある方、是非とも足を運んでみてください。必ずや新しい発見と、思わぬ出会いがあるでしょう。うっかり散財と予期せぬ時間の経過にはご用心。


今後も営業部より全国各地の面白い書店、名物書店員さんを紹介していきたいと思います。どうぞお付き合いください。

(営業部・白井靖子)


ちくさ正文館本店

愛知県名古屋市千種区内山3-28-1
JR中央線千種駅より徒歩3分
地下鉄東山線千種駅4番出口より徒歩3分
tel: 052-741-1137
営業時間 10:00 〜 21:00(日・祝日は20:00まで)

(初出:『かわくらメルマガ』vol.11 2013/5/14)

※※※※※※河出クラブの入会はこちらから※※※※※※