かわくらトップページへ 過去のかわくらメルマガ掲載記事過去のかわくらメルマガ掲載記事一覧かわくらアーカイブを購読

過去のかわくらメルマガ掲載記事
  • Clip to Evernote
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年7月の記事一覧

私が札幌市郊外のくすみ書房さんを初めてお伺いした時に受けた印象は今でも
忘れられない。

すでに「(なぜだ!)売れない文庫フェア」(もちろん河出文庫もラインアッ
プにいれていただいていた)、「本屋のオヤジのおせっかい、中学生はこれを
読め!」などの企画で業界内外で話題になっていた。
直接訪問してみるとイメージが膨らみすぎていたためか思ったよりこじんまり
した店舗であったが、今まで訪問した数百の書店にはない形での、月並みな言
葉であるが"温もり"を感じた。まさにその発信源は壁面の棚に展開された「中
学生はこれを読め!」のコーナーだった。

先に話題になっていたので書目リストぐらいは目を通していたが、実際に手書
きの統一オビが巻かれた新旧織り交ぜたラインナップには、直球ど真ん中の、
潔いかつ切なるメッセージが現れていた。ネット書店や大型書店ではなしえな
い、地域に密着した、血が通った空間でのみ実現できる仕事なのだと思う。
「これを読め!」「君たちを守りたい」といってくれる書店さんを、本屋のオ
ヤジを、身近に持っている札幌の子供たちはなんて恵まれているのか、と勝手
に思った。
そこには地域の書店さんならではの裸のメッセージと手渡しの温もりにあふれ
ている。それから何度も通っているが、そのスタンスは常に変わらない。

業界が揺れている。くすみ書房さんも例外ではないらしい。

以前に比べるとネット書店、中古店、図書館、そして電子書籍とユーザーの選
択肢も格段に増えた。しかし、こんな発信力があって素敵な空間を作り、温も
りを持って本との出会いの場を演出してくれる書店さんは地元の子供たちにと
って、読書人にとって、また業界にとっても、とても貴重だと思う。応援した
い。

(営業部・七澤博史)

◎くすみ書房
北海道札幌市厚別区大谷地東3-3-20 CAPO大谷地
地下鉄東西線大谷地駅隣接
tel: 011-890-0008
営業時間: 10:00~22:00 年中無休 

*2005年10月にくすみ書房さんが開催した「河出文庫の売りたいフェア」の
模様。
「河出文庫 売りたい文庫フェア」
http://twitpic.com/cyw56w

(初出:『かわくらメルマガ』vol.11 2013/6/25)