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編集担当者が語る、『憤死』と『夢を与える』

綿矢りささんの初の短篇集『憤死』が待望の文庫化。ホラーテイストあり、都市伝説
風ありと著者の中では異色の作品集と思われる方も多いと思いますが、実は綿矢さん
はかなりのホラー好き。ということで、いつもと変わらぬ現実が、徐々にその姿をゆ
がめていくのを、これでもかというほど冷徹かつ美しい文体で描いていきます。とく
に「トイレの懺悔室」は、森見登美彦さんを「ほとんど私の理想そのものの「怖い
話」なのである。」とうならせたほど。

そのうえ関西特有の毒気のある笑いも加わって、読んでいるうちになんともいえない
奇妙な世界に引きずり込まれていきます。第一話「おとな」は、読者の方から何回か
「これは実話ですか?」とのお問い合わせの電話をいただいたほど。もちろんフィク
ションですので、みなさんもこの本を手にする時は、どうぞ現実を見失わないように
ご注意ください。

そして綿矢りささん初といえば、もう一つ。『夢を与える』がWOWOWで初の連続ド
ラマ化されます。主人公夕子役が小松菜奈さん、その母親幹子役が菊地凛子さんとダ
ブル主演。他にもオダギリジョーさん夏帆さんなど豪華キャストです。監督は「ジョ
ゼと虎と魚たち」「のぼうの城」の犬童一心監督。CMディレクターでもある犬童さん
は、子どもタレントを取り巻く世界をよく知っているだけに、夕子を取り巻く大人た
ちの描写がとてもリアルです。

「夕子は生け贄だ。母が、父が、会ったこともない人たちが、TVが、広告が、マスコ
ミが、差し出した生け贄。何故、生け贄が生み出されるのか? それを探ってみたい」
(犬童監督コメント)

先日、綿矢さんとロケにお邪魔してきましたが、あまりの迫力とテンションにただた
だ圧倒されました。5月16日より毎週夜10時(全4話)WOWOWで放映されます。
第一話は無料放送ですので乞うご期待。


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綿矢りさ『憤死』(河出文庫)

綿矢りさ『夢を与える』(河出文庫)

ドラマ『夢を与える』公式サイト

(初出:『かわくらメルマガ』vol.68 編集担当が語る、綿矢りさ『憤死』『夢を与える』と『居酒屋ハムスターの銀次』)