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第51回文藝賞が決定

去る8月27日(水)山の上ホテルにて、選考委員・藤沢周氏、保坂和志氏、星野智幸氏、山田詠美氏により、第51回文藝賞の選考会がおこなわれました。 
その結果、受賞作は李龍徳(イ・ヨンドク)氏の『死にたくなったら電話して』、金子薫(かねこ・かおる)氏の『アルタッドに捧ぐ』に決定いたしました。
受賞作・選評・受賞の言葉は、10月7日(火)発売の『文藝』冬号に掲載されますので、ぜひご一読ください。


【受賞作】
李龍徳『死にたくなったら電話して』
金子薫『アルタッドに捧ぐ』

【略歴】  
李龍徳

1976年、埼玉県川口市生まれ。37歳。在日韓国人三世。早稲田大学第一文学部卒業。現在、無職。大阪府在住。

金子薫

1990年、神奈川県横浜市生まれ。24歳。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒業。現在、慶應義塾大学大学院文学研究科仏文学専攻に在籍。神奈川県在住。

【内容紹介】
『死にたくなったら電話して』

「死にたくなったら電話して下さい。いつでも。」

ある日、バイト先の同僚に連れられ十三(じゅうそう)のキャバクラを訪れた徳山(浪人三年目の崖っぷち男、見た目はいいが自尊心低め)は、そこで出会ったナンバーワンキャバ嬢・初美から、携帯番号とともに謎のメッセージを渡される。初美からの猛烈なアプローチを怪しむ徳山だったが、気づけば「他のことは何もかもどうでもいい、というように互いに貪りあう」ずぶずぶな関係に。殺人・残酷・猟奇・拷問・虐殺......初美が膨大な知識量と記憶力で恍惚と語る「世界の残虐史」を聞きながらの異様なセックスに興奮を覚え始めた徳山は、やがて厭世的な初美の思考に浸食され、次々と外部との関係を切断していくのだが――。

初美により無意識に引き出される暴力性と破滅への欲望......高い文学性と圧倒的な筆力から生み出されたエンターテインメント性で選考委員が絶賛した、第51回文藝賞受賞作!


『アルタッドに捧ぐ』

「本間は、作中で少年の死体が発見された今日この日まで、少年が死を選ぶなど、露ほども考えてはいなかった。」

大学院を目指すという名目で亡き祖父の家で一人暮らしをしながら小説を書いている本間。ある日、その主人公であるモイパラシアが砂漠で死んだ――彼の意図しないところで。原稿用紙の上に無造作に投げ出された「列車によって切断されたと思われる少年の左腕」。途方にくれながらも本間が「黒インクが血液の如く流れ続けている」左腕を原稿用紙に包み庭に埋めようとした時、そこから現れたのは小説の中でモイパラシアが飼育していたソナスィクセムハナトカゲの幼体「アルタッド」だった......。

幻想的でありながらも圧倒的リアルな手触りを持つシームレスな小説世界と、その独自の世界観を支える完成された文体。そして「書くこと」の根源に挑んだ蛮勇に選考委員が驚愕した、第51回文藝賞受賞作!