ユーディット・シャランスキー著、細井直子訳『失われたいくつかの物の目録』が、第七回日本翻訳大賞を受賞しました。
『マーダーボット・ダイアリー 上・下』マーサ・ウェルズ著、中原尚哉訳(東京創元社)との同時受賞となりました。
日本翻訳大賞とは毎年、12月1日~翌年の12月末までの13ヶ月間に発表された翻訳作品中、最も賞讃したいものに贈られる賞。選考委員は金原瑞人・岸本佐知子・柴田元幸・西崎憲・松永美穂が務め、第六回からゲスト審査員として斎藤真理子が加わりました。また、運営・選考に読者の参加を仰ぐ形で運営されています。
河出書房新社刊行の書籍が本賞を受賞するのは第2回関口涼子/パトリック・オノレ訳『素晴らしきソリボ』(2016年実施)以来2度めです。
本作は1980年、旧東ドイツ、グライフスヴァルト生まれの作家・ブックデザイナーであるシャランスキーによる作品。解体された東ドイツの宮殿、絶滅種のトラ、太平洋に沈んだ島、老いたグレタ・ガルボ......すでに失われた自然や芸術作品が雄弁に語り始める。各章16ページのテキストと、ダークな線画が織りなす夢の目録。
受賞された訳者 細井直子さんは1970年生まれ。慶應義塾大学文学部博士課程単位取得退学。訳書に、ハウゲン『月の石、フンケ『竜の騎士』『どろぼうの神さま』、ユング『夢分析Ⅱ』など、多ジャンルに渡る翻訳で活躍されています。
授賞式は6〜7月頃にオンラインで行う予定です。受賞者の朗読や選考委員とのトークなど、盛りだくさんのカジュアルな授賞式を企画しています。日付など詳細は追って日本翻訳大賞公式サイトで発表されます。
■「アフター6ジャンクション」の翻訳大賞特集 放送決定!
5月25日(火)TBSラジオ「アフター6ジャンクション」の「翻訳大賞特集」(20時〜)に、受賞者の細井直子さん、中原尚哉さん、選考委員の柴田元幸さんが出演予定です。どうぞお楽しみに。